<長野県上田市保野>
祗園祭/7月第3土〜日曜

上田市保野は、信州の鎌倉・塩田平の入口にあたります。古くからの交通の要所であり、中世には市も立ったといいます。現在も公民館近くに市神があります。
この保野では、400年の伝統を持つ「祗園祭」が伝えられてきました。7月に入り、細かい行事が厳格に執り行われています。そして、祗園祭当日とその宵祭に<簓踊>と<三頭獅子>が奏演されます。

◆地区内を巡行する神輿◆
氏神は塩野神社で、武田信玄により、永禄年間(1558〜1569)に京都から牛頭天王=スサノオノミコトを勧請して、祗園祭が
◆笛・太鼓・唄◆
始められたといいます。

まつりは、7月1日の「天王おろし」によって始まり、地区内の入口に注連縄が張られます。そして宵祭には、市神へ神輿によって牛頭天王を御旅所へ遷座します。この後、夜8:00から公民館で、簓踊と三頭獅子が奏演されます。

当日は、また子どもの大名行列、祗園囃子を奏する屋台、そして簓と獅子が、神輿と共に神社へ還幸し、午後4:00から神前で舞い納めます。

獅子は、天正11年(1583)の上田城築城の地固めに舞い込んだという伝承や、元禄年間には保野・塩吹池の築造について、その工事記録には「獅子舞人足257人」とあるといい、地固めに舞われたといいます。

<簓踊>先に舞われます。
花笠をつけ、スリザサラを持った女児によって踊られます。また、大団扇を持った「先舞(=天狗)」の先導で、円陣になって舞われます。
楽器は、篠笛数名、鋲留大太鼓1人、締太鼓2人、あとは「簓歌」を数名で歌います。別所では子どもが歌いますが、保野では大人が歌います。

(2002年7月21日 保野祗園祭/塩野神社)
(2007年7月22日 保野祗園祭/塩野神社)

<三頭獅子>簓踊が終わって退場した後、先舞=天狗の先導で三頭獅子が登場します。

(2002年7月21日 保野祗園祭/塩野神社)
 
(2007年7月22日 保野祗園祭/塩野神社)

演目は、@初切、Aヒーヒャーブー、Bオカザキ、Cヒーヒャーレ、Dトーロヒ、E廻れヒーヒャレ、Fトーヒャブ、Gトロロ、Hツルヒャ です。ここは赤<色の頭の雄獅子2頭、雌獅子1頭、先舞で構成されます。先舞は最初大団扇と五色の御幣を持って舞い、途中団扇を外して舞います。また、この獅子頭は「虎型」と呼ばれ、太神楽獅子をやや扁平にした感じの頭です。
また所作が、地面をはいつくばるような動きをすることから「田の草獅子」とも言われるそうです。