<長野県下伊那郡阿智村園原>
 
 阿智村「帚木」は「ははきぎ」と読みます。下伊那郡阿智村は園原伏屋にあるヒノキの古木です。遠くから見ると、ほうきを立てたように見えるのだが、近寄ると見えなくなるという伝説の木。『新古今和歌集』に選ばれた 園原や伏屋に生ふる帚木の ありとは見えて逢はぬ君かな(坂上是則)で知られます。また『源氏物語』の中の「箒木」も有名。ははき木の心を知らで園原の 道にあやなくまどひぬるかな などの歌とともに知られています。また、伝説として、園原の炭焼吉次の妻・客女姫が、母恋しさに西の空を眺めていると、母の手招く姿が見え、そこで思わず「お母さま」と声をあげて近寄ります。すると、木が風に揺れているのであった。それから「母木木」といわれるようになったというのだそうです。これだけ、古典文学知られた「帚木」も、昭和33年9月の台風によって倒れてしまったのだそうです。辛うじて根と幹の下部のみが見ることができます。

【2013.6.18.撮影】