〜岡山県笠岡市白石島〜

岡山県の瀬戸内海に浮かぶ白石島に伝わる盆踊り唄。大変古風で、また風流な踊りとして知られています。大きな傘を立てところを廻りながら踊る姿が印象的です。

女性は浴衣や振袖で手拭いの頬被り、男性は法被や鉢巻、笠や襷をかけて裸足、また羽織の人や菅笠や…と仮装行列をも思い浮かべるような華麗な扮装で踊られています。

源流は不明だそうですが、時代的にも古く江戸時代以前にまでさかのぼる「念仏踊り」だといわれています。瀬戸内海沿岸や九州あたり、また島根や鳥取あたりにまで同系統の踊りが伝承されているといいます。東京の《佃島盆踊》も同じ系統のようです。

なお白石島では旧暦の7月13〜16日は「盆踊り」、20日は「八朔踊り」、24日は「地蔵踊り」として踊られていると言います。大傘は祖先の霊が降りてくるための依り代であるようです。そして信仰的な「賽の河原」「石童丸」「七回忌」「坊主落し」といったものや、娯楽性のある「揚巻助六」「丹波与作」「おさん茂兵衛」「お夏清十郎」「那須与一」といった口説が演じられます。

唄は太鼓の伴奏のみで、ゆったりとした曲調です。単純な繰り返しではなく、途中にいろいろな節が挿入されながら、物語が語られます。聴けば聴くほど味があります。

わたくし、まだ踊りを実際に見たことがありません。
瀬戸内海に浮かぶ島々の民謡や芸能は、とてもロマンがあります。ぜひ訪ねたいものです。