<前唄>
○ハイ目出度サァハイヤ ハ目出度サァハイヤ ハドウジャイナーハハ(ヤッタリトッタリ)
ヤッタリトッタリ 新川古代神で ヨイカノカンヤ(ヤァーサーサヨイカノカンヤ)
○ハァーちょいと出ました三角野郎が 野郎は三角櫓は四角
四角四面の櫓の上で 音頭とるとはドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
アそりゃよいけれど先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
○ハァー離れ座敷で泉水眺め ビールやお酒を林のごとく 好いたお方にお酌をさせて
鯛の刺身でドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
ア一杯呑んだような先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
○ハァーうまい具合にゃいかないけれど 牛に縄つけ引っ張ったように そろりそろりとドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
ア文句にかかる先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
○ハァー家の東にお寺さんがござる 寺の坊さんわれらの手本
一に早起きドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
ア二に鐘突きよ先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
○ハァー三にさらりと戸障子を開けて 四では静かに学問なさる 五に後生の道大事になさる
六にゃろくなことないよになさる 七に七重もドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
ア書くよになさる先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
○ハァー八に八重巻読むようになさる 九には苦なことないよになさる
十でところにドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
アお寺を建てた先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
○今でも流行るかヨイカノカンヤ(ヤァーサーサヨイカノカンヤ)
<本唄>〜かかり
○サァーテキリリトショイ(サァーテキリリトショイ)
ハイヤーデマセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
<本唄>〜古代神【愛本口説】
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
花の八月十日の季節 明日(あけび)開帳の参りし戻り
七ツ半頃愛本橋の 橋のたもとで手拭い拾うた
拾うた手拭いの散らしを見れば 藍のしるしに川瀬の模様で
拾うて二三日経たない内に 綺麗な男が旅装束で
そろりそろりと荻生に下る
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
ここはどこよと子守衆に問えば ここは荻生の中村でござる
荻生中村の徳左右衛門でござる 橋の先より三軒目でござる
夜の九ツ四ツ半頃に お竹寝ている雨戸のそこへ
お竹お竹と二声三声 夜の夜中にわし呼ぶ者は
迷い者かよ変化(へんげ)の者か 迷い者でも変化でもない
手拭い落とした大蛇でござる
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
大蛇様かよアレ恐ろしや 拾うた手拭いお返しいたす
あの手拭い訳ある手拭い 風が吹いてもたってもいかぬ
雨が降っても濡れるもしない それをお前さんが拾うたじゃないか
因縁あったら拾うたじゃないか おらと行くまいか愛本橋を
おらの館は水の中でござる
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
【お吉清三口説】
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
ここに京都の名高き所 糸屋与右衛門有徳な暮らし
店も賑やか暮らしも繁盛 一人娘にお吉というてよ
年が十六今咲く花よ 店の番頭に清三というてよ
年が二十二で男の盛り 器量がよければお吉が見初め
通う通うが度重なれば 親の耳さにもそろそろ入る
奥の一間にお吉を呼びて そなた呼ぶのは他でもないが
店の清三とは訳あるそうな 思い切る気か切らぬかお吉
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
奥の一間に清三を呼びて そなた呼ぶのは他でもないが
家の娘のよい気を晴らし これを聞いてはおかれはしまい
しまい取ってかしゃせ今日限りじゃと 実際清三は大坂生まれ
物も言わずにただハイハイと 家に帰りて四五日経つと
お吉想うと病気にかかり それがついにてあい果てまして
お吉とろとろ眠りしところ 夢かうつつか清三の姿
枕元へと現れまして 見れば清三の姿が見ゆる
さらばこれから清三が元へ 親の手元は忍んで行きゃる
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
それが館はどこかと聞けば 橋の元より三軒目でござる
清三館の前にとなれば 笠を片手に小腰をかがめ
ご免なされと腰打ち曲げる 物の哀れや清三が母が
数珠を片手にただ泣きながら 若い女中さんどこからござる
わしは京都の糸屋の娘 清三さんには訳ある中に
遠いところを訪ねてきたよ そなた訪ねる清三が果てて
今日は清三の七日でござる それを聞いてはただ泣くばかり
それじゃ清三が墓所はどこか 清三墓所はどこかと聞けば
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
○まだもサーハーヨーイホ
サーテこれからコレワイ何事よ
清三墓所の前にとなれば 簪(かんざし)立ててはお花といたす
砂をつまんで焼香とすれば 人の思いは恐ろしものよ
立てた塔婆が二つに割れて そこに清三が現れ出でて
そこにいるのはお吉じゃないか お吉泣くなよ泣いたるとても
どうせこの世で逢われはしまい おれを想わば香華を立てて
香の煙をわしゃ楽しむよ とは言うては消えしゃるけれど
これを待たしゃれコレ待たしゃんす そなた一人は待たしゃんすまい
寺の大門四五丁離れ 小石拾うては袂に入れる
寺の和尚さんと身を投げまするサァーハハハイヨー(ジャントコイジャントコイ)
アリャソノセーカイナ コレワイトートコヘンナーハ(アリャハイトサーヨイヤコノセ)
<後唄>
○アーさても一座の皆さん方よ 上手で長けりゃそりゃよいけれど
下手で長けりゃあくびの種よ ここらあたりでドウジャイナハハ(ヤッタリトッタリ)
ハァ段止めまして 先生方や(サァーイアリャサイドッコイセ)
どなた様じゃ ご先生に交代 ヨイカノカンヤ(ヤァーサーサヨイカノカンヤ)
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