<長野県上田市塩田新町/氷上王子神社>
不定期 10月の土曜日 
午後1:00頃〜お練り出発/午後4:00頃〜神楽奉納 

長野県上田市塩田新町は、「信州の鎌倉」と呼ばれる文化財の多い「塩田平」の一角にあります。ここの鎮守、氷上王子神社に大規模な太神楽が行われてきました。

ここの獅子は江戸丸一系太神楽であることがよく分かり、獅子の幌や神楽(巡行するときに太鼓を着け、頭を運ぶ神輿状ののもの)の引幕、舞台の飾りなどに「丸一」の紋が描かれています。また、大規模なためか「太々神楽」という表示がされています。
塩田新町の神楽は、いわゆる祈祷舞である「悪魔払い」を行うだけではなく、太神楽の余興芸を舞台上で演じるところに特徴があります。

演 目
神々楽 獅子による悪魔払い
鳥さし 5人の子どもたちによるユーモラスな舞
二面 獅子と天狗による舞
おかめ おかめと神主による軽快な掛け合い
三面 獅子と鬼、兵六による舞
万才 太夫と才蔵による掛け合い万才
歌神楽 前半は「岡崎」の舞、後半は「お染久松」を獅子が演じる
和藤内 「国姓爺合戦」を、虎役の獅子と、和藤内、朝比奈が演じる
※ 氷上王子神社「太々神楽奉納次第」(パンフレット)より

まず、地区内を「お練り」によって巡行します。地区内の出発の場所に集まり、行列を組んで、舞をしながら進んでいきます。これが「悪魔払い」で、かつては地区内を1軒1軒廻って、舞をしていきました。現行では、地区内の決められた場所のみで、舞を行います。

やがて夕刻になると、神社に戻り、式典を執行し、その後境内に仮設された舞台の上で、神事舞に引き続き、数々の太神楽芸を演じていきます。
このようなパターンの獅子芸は、北信地域に多いものです。上田市やその周辺にもいくつか伝承されています。特に、「鳥さし」や「和藤内」「おかめ」等といった演目は大体共通しています。台詞あり、地芝居風な歌舞伎の一場面を獅子が行う、大変おもしろい芸能です。

祭りは、神社の秋祭に奉納されますが、毎年ではなく、何年かおいて執り行われてきました。ここの秋祭は、本来は10月4日の午後、地区内を廻り、夕刻に神社で奉納、翌5日の午後に再び神社での奉納、という形でしたが、現在では土日に行われるようになっています。また毎年ではなくて、何か特別な時にのみ行われるようになってきました。

わたくしが訪ねたのは以下の通り。

  ◆1989年10月14日(土) 午後 1:00〜お練り出発 午後4:00〜神楽奉納(神社)
  ◆2003年10月 4日(土) 午後12:30〜お練り出発 午後3:00〜式典 午後4:00〜神楽奉納(神社)