〜富山県滑川市〜 |
民謡のおもしろさにはいろいろありますが、竹もののようなしみじみと聴かせるものもいいですが、軽快な楽しい唄もいいものです。
子どものころ、わたくしが聴いて「…おもしろいな」と思った唄に、富山の《新川古代神》があります。テレビでは、松明を振りながらの踊りが映っており、踊りもおもしろいし、唄も早口で、変わった唄ばやしがつづくな…という印象でした。
この「古代神」という言葉は、昔の神様?とも思わせるのですが、実は「広大寺=こうだいじ」の転訛、つまり新潟県の《新保広大寺》が、瞽女達によって富山に伝えられていったものです。地元には、滑川市下大浦の西光寺の「コダイジ」という和尚が、先祖の霊を慰めるために、松明を持って踊り始めた、という伝説まで残っているそうです。
曲は、前半の「ハァーこりゃまたドウジャイ皆様方よ…」といった部分が「チョンガリ節」の部分です。上新川地方では「ハネソ」と呼ばれる盆踊り唄で、鳥取県あたりの唄という説もあります。この「ハネソ」がいわゆる「チョンガリ節」の部分です。
中間の「サ−テコレカラコレワイ何事じゃ…」からが《新保広大寺》の節になります。そして、最後はまた「チョンガリ節」になります。この「チョンガリ節」も軽快で長々と語っていくようなもので、石川・珠洲市の《ちょんがり節》も同系統の唄です。
こうした組唄的な構成をとるのは、魚津の《せり込み蝶六》も同じです。レコードやCDなどの演奏では収録されていませんが、地元版の《せり込み蝶六》の「チョンガリ」入りバージョンは、よく似ています。
《新川古代神》は、現在では滑川市の「ふるさと龍宮まつり」(7月開催)で民謡流しで踊られています。市民による町流しの踊りとともに、保存会による《新川古代神》の松明踊りを見に行きました。本場の踊りはいいです!