青澤神楽<手踊り>
(2002年10月20日)
「手踊り」は神楽の中でも余興芸であり、面白おかしく踊られる。伴奏はなく、周囲の人々によって歌われる。また<しげさ踊り>に見られるように、「チトチンリン…」といった口三味線が残っているところから、かつてはこの神楽も三味線が入っていたものと思われる。 |
<新保サ> |
江戸時代に大流行した新保広大寺。広大寺は新潟県十日町市下組新保にある禅寺で、土地争いに関わり和尚追い出しを謀った時に作った悪口唄。これが大流行し、瞽女や神楽衆によって全国に伝播、神楽に取り入れられたもの。神楽の手踊りとしては広く見られ、十日町市赤倉神楽などにも踊られている。 |
<歌詞> ○揃うたナーヨー 揃うたな ヤッコリャ 踊り子が ヤーンレ 揃うたナー (ソレカラドーシタ ソコラガ大事ダ) 内(なか)の二三人はサー 尚ヤーンレ 揃うた コリャサ−エー (いいとこ取っちゃ 食うとこない 土産にすっとこア ちっともない 家行っちゃ 爺ちゃに申し訳ない) ○来いとナーヨー 言うたとて ヤッコリャ 行かりょか ヤーンレ 佐渡へナー(ソレカラドーシタ ソコラガ大事ダ) 佐渡は四十九里サー 波ヤーンレ の上 コリャサーエー (にしんの昆布巻きゃ 食うときゃ うまいが 借金思えば 奥歯にはさまる) |
<しげさ踊り> |
「しげさ」とは「出家さん」のことで、 ○出家さん出家さんと声がする 出家さん 出家さんの御開帳 山坂越えても 参りたや といった歌詞で歌われる柏崎あたりの民謡が源流と思われる。これが三回繰り返すようになったものは<三階節>になり、はるか島根の隠岐島の民謡として伝わったものは<しげさ節>がある。 |
<歌詞> ○しげさ踊り子の 染め浴衣 裾には 裾には立浪 肩にはカルタの 紋印 (チトチンリン トツリトシャンシャン シャシャリコ シャンシャン) ○糸魚川から 泊(とまり)まで 間には 姫川 山下 境の 御番所が なきゃ良かろ (チトチンリン トツリトシャンシャン シャシャリコ シャンシャン) |
<伊勢音頭> |
三重県の五十鈴川のほとりに鎮座する伊勢神宮。その参詣客相手の古市、川崎といった場所の茶屋で歌われたのが<伊勢音頭>である。もとは伊勢神宮の「御木曳き木遣」といって御用材を曳くときの唄で、特徴は「ヤートコセー」の掛け声にある。これも参詣客が覚えて地方に広め、酒席の唄、祝い唄といった民謡として、また神楽衆によって神楽にも取り込まれている。 |
<歌詞> ○伊勢はナーヨー 津で持つ 津は伊勢で持つ ナー(ハイトセー) 尾張名古屋は ヤハンデ 城で持つナー (キタコラヤートコセーノ ヨーイヤナ アリャランラン コレハノセー コーノ ヤレサンノセー) ○姉まナーヨー どこへ行く でかい腹抱えてナー(ハイトセー) 生まれ在所へ ヤハンデ ぼぼ産みにナー (キタコラヤートコセーノ ヨーイヤナ アリャランラン コレハノセー コーノ ヤレサンノセー) |