<長野県木曽郡上松町寝覚>
大宮神社/7月中旬の金・土・日曜日

木曽郡上松町は、かつて木曽古道、中山道が貫かれる場所で、古くからヒノキを初めとする木材の集まる場所、宿場町として知られてきました。中心街から少し南下すると、天下の名勝「寝覚の床」で知られる寝覚地区は、かつて中山道の立場跡があったことでも知られています。街道から山手に入ると「大宮神社」があり、その例祭に獅子神楽と獅子狂言が行われてきました。

祭礼は7月中旬の土・日曜日となっています。その前日の金曜日の夕刻には「芸ざらい」と称して、狂言を披露してきました。現在は上松中学校駐車場内の広場を舞台として、盛大に行われています。

<芸ざらい>
週末の金曜日の夕刻の「芸ざらい」は、夜7:30から。上松中学校北側の駐車場内の特設会場で行われます。ここで地区の方々に、数々の獅子狂言を披露します。

<例祭1日目>
土曜日は<宵祭り>。大宮神社で「神遷し式」等の神事を行います。そして「十二当」の舞を行ってから下り、10:00頃から、寝覚区、見帰区内を「悪魔払い」の舞を行いながら、廻っていきます。このときは「神楽」と呼ばれる御幣、三段の唐傘を立てた屋台を曳きながら、笛・2種類の太鼓を叩きながら、進みます。夕刻7:30過ぎには、この祭りの見所の1つ、「お練り」を行い、仮宮への遷座が終わります。

<例祭2日目>
日曜日は<本祭り>。この日も、神事のあと、「しきのしき」「しきののさ」を舞ってから下り、9:00頃から、地区内を悪魔払いをしながら廻っていきます。それが打ち上げとなると、12:00から「お練り」、それも打ち上げとなると、再び神社へ登り、「神納め」をして、すべて終了となります。

獅子狂言について



この獅子舞は、民俗芸能の分類上、二人立ちの「太神楽獅子」です。よく知られているのは伊勢太神楽、尾張太神楽、そして江戸へ伝わった江戸太神楽があります。
太神楽獅子には、アクロバティックな芸を行う「曲獅子」と獅子が女形を演じる「獅子芝居」「嫁獅子」「獅子狂言」とがあります。幕末に三河と尾張の神楽師が創作したらしく、特に三河の神楽師が芝居の一部を取り入れたことにより、明治期から大正期流行したようです。木曽谷へも三河あたりから伝播したようです。特に上松では、伊勢神宮遷宮の御用材伐採、曳き出しに獅子神楽が先導するといい、当地域の獅子神楽は大切にされてきました。

芸態は、本来の太神楽の役割である「悪魔払い」が第一です。二人立ちとはいえ、幌の前後に立って四股獣の姿になることはなく、幌を絞って、一人立ちになって鈴や御幣をもつ祈祷舞が中心で、神事舞的な舞を行います。そして「獅子芝居」は、女物の着物を着た獅子が女形となり、他の若連が役者となって、歌舞伎などの一場面を演じます。

2010年7月16日の「芸ざらい」の日は、あいにくの雨模様。自分が見学したのは『伊奈川鉄ケ嶽』、『白浪五人男(弁天娘女男白浪)』〜<浜松屋の場><勢揃いの場>です。