富山県射水市放生津町/5月15日  他 

射水市、旧新湊市放生津地区は獅子舞が多く伝承されています。西奈呉の「奈呉」という地名で思い起こされるのは「奈呉ノ浦」。越中の代表的な歌枕として知られ、若くして越中国司として高岡・伏木に赴任していた万葉歌人・大伴家持の歌、「あゆの風 いたく吹くらし 奈呉の海人のあゆの風 いたく吹くらし 奈呉の海人の釣する小舟 漕ぎ隠る見ゆ」のイメージが浮かびます。おそらく万葉の頃から、人々が住んでいた古い町なのでしょうか。

奈呉では「澗建(またて)」という漁師の同業者組合による獅子舞が活動され、大奈呉(奈呉町獅子舞保存会)として獅子舞が演じられています。

西奈呉(大奈呉)の獅子頭は、黒塗りが多い放生津の獅子頭の中で、珍しく赤塗りです。また、やや四角形の獅子頭は「箱獅子」と呼ばれ、古い伎楽の獅子のような印象を受けますし、古さを感じさせるいい頭です。胴幕も青を基調としたものではありますが、古さを感じ、伝統ある獅子舞の雰囲気を醸し出しています。

5月15日の春祭では、丁寧に獅子舞が巡行していきます。そして一軒一軒の家々を廻り、獅子舞を披露していきます。

 
 
 2023年5月15日、射水市各所にて 
2005年5月15日、射水市各所にて