『葛の葉』は、『信田妻』ともいわれる。安倍保名に助けられた白狐が、人間の姿となって現れ、恋仲となり結ばれる。その子、童子丸をもうけるものの、やがて保名が助けた狐であると正体が知れ、 恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉 の一首を読んで、信田の森へと去っていく。この歌を、口にくわえた筆で書くシーンが見物である。ちなみに。この童子丸が、後の安倍晴明である。