富山県高岡市大坪町/神明神社〜大坪町内/9月第2土曜日 6:00〜24:00頃 

高岡市は古い城下町です。慶長年間、加賀藩主であった前田利長公が富山城に隠居しますが、富山城下の火災により、あらたに関野に城を建設、城下町の造成を始め、高岡と改めたといいます。利長公が富山城へ移る前の居城としては守山城があり、戦国期までは越中の要所だったところです。

大坪町は、高岡城の北西部に位置します。なかでも三・四丁目の青年団によって獅子舞が伝承されています。この三・四丁目は、かつて「土器(かわらけ)町」と呼ばれていました。

演目名
・ヤラヤラ  ・キリコ   ・ケン   ・ヒトバヤシ  ・ナギナタ  
・バイガエシ  ・ヤツブシ  ・ケン傘  ・ジシマイ  ・ニラミ
・ボン(棒)オトシ    ・ネマリ(座り)キリコ

かつて守山から千保川と小矢部川の合流する二上の渡りを経て、木町、土器町を通る道が本街道であり、利長公による高岡城築城後、その本街道に通すように小矢部川右岸に道を作り、その交差するのが土器町あたりだったようです。

高岡の獅子舞は氷見型百足獅子に分類されるものが多いですが、この大坪町三・四丁目の獅子も同様です。いわゆる氷見系の純型に対して、各地の要素を取り入れた氷見系伝播型とされています。氷見系純型のような天狗はなく、シャグマを被るスタイルです。また、特徴的なのは六尺棒を勢いよく回す所作が印象的です。道化の舞は、衣装が残されているので、かつてはあったようですが、現行では行われていません。

獅子頭はいわゆる「熊獅子」です。大振りで、黒い毛が植えられており、歯が白くリアルな牙が特徴的です。楽器は新月乃笛によるもので、縦笛を中心とした笛ですが、道中太鼓、キリコ、ジシマイ、ネマリキリコのみ横笛です。鳴物としては太鼓と、氷見系らしく鉦が使われます。また太鼓台は、高岡らしく御車山の花笠のような作り物になっています。

当日は、朝 6:00に神明神社への宮入の後、町内巡行、休憩を挟んで夕刻まで続きます。夜は「招待花」のお宅での演舞が続き、22:00頃から最後の巡行を続け、23:00過ぎには<宿入り>となり、現在の「獅子宿」である大坪町三・四丁目公民館前で、全演目が奏演されます。ちなみに「獅子殺し」はありません。

当地域では「獅子宿」が1年交替であったといいますが、現在では公民館があてられています。祭りの翌日の直会では、次の宿へ渡す儀式の舞があり、現在でも公民館でこの舞が行われています。古い伝統を保った獅子舞です。

2010年9月11日、高岡市大坪町内各所にて
2009年9月12日、高岡市大坪町内各所にて