<長野県長野市松代町東条>
玉依比売命神社/1月6日 14:00〜15:00

 長野市松代町の市街地から東に進んだ山手に、古くから池田の宮と呼ばれた玉依比売命神社があります。タマヨリヒメノミコトとは女性の海神であるそうです。神社の背後は天王山で、相殿として素戔嗚尊、つまり牛頭天王が祀られています。かつて賑わった松代天王祭の祭神・牛頭天王を下す「天王下し」が今でも行われているそうです。
 この神社の正月七種の行事として「児玉石神事」「御判神事」がよく知られ、その前日にこの「御田祭(おたまつり)」が行われています。

 毎年1月6日に執行されます。14:00から、神社の拝殿内の神前で祭典が行われます。40分ほどの後、いよいよ神事となります。

 行事名 内容 
 田打ち 餅によって作った鍬を持って、田打ちをする。
 代掻き 鍬を置き、手で代をかき回す所作をする。
 田植え 参会者全員で、田植えの所作をする。

 演ずる人は3人の「作男」で、一番、二番、三番と呼びます。また、詞章を唱える祢宜が進めていく。作男は、白装束に白鉢巻。神事が始まると、左肩を脱ぎ、3つの農作業の模擬行動をメインとする所作を行います。

 田打ちでは、祢宜が「春田をうなうな」と唱えると、作男達が「延命 小袋、打ち出の小槌」と返します。そのとき、餅で作った鍬を持って、田を耕すような所作を行います。まず正面で行い、時計回りに五方向で同じ所作を行っていきます。

 代掻きは、採り物はありません。太鼓のリズムに乗りながら、3人が一番、二番、三番とつながり、代を掻き、その後、五方で手でならすような動きをします。周囲からは「ならして、ならして」といった声がかかります。

 田植えは、田植えの所作を行います。これは参会者も加わって、田植えをします。祢宜が「御御倉(おみくら)の種よ」と唱えると、「一本植えれば千本になる」と付け加えます。
 
こうして、3つの行事は全部で15分ほどで終わりとなります。最後に胴上げをして、祭りが終わります。この祭りでは、笛のような楽器はないですが、太鼓を使います。明確な旋律のある唄が歌われることはなく、詞章を唱えることで進行していきます。素朴な神事ではありますが、古来より面々と伝えられた祭です。