筑子(こきりこ)唄 歌詞
(はれのサンサもデデレコデン)
○筑子の竹は 七寸五分じゃ 長いは袖の かなかいじゃ
 (窓のサンサもデデレコデン はれのサンサもデデレコデン)   
(以下、唄ばやし同様)

○踊りたか踊れ 泣く子を起(い)くせ 簓は窓の 許ににある
○向かいの山を 担(かづ)ことすれば 荷縄が切れて 担かれぬ
○月見て歌う 放下(ほうか)のこきりこ 竹の夜声の 澄み渡る
○よろずのササイ 放下すれば 月は照るなり 霊祭(たままつり)
○娘十七八 大唐の藁じゃ 打たねど腰が しなやかな
○想いと恋と 笹舟に乗せりゃ 想いは沈む 恋は浮く
○いろはの文字に 心が解けて 此身をせこに 任せつれ
○かぞいろし知らで 一人の処女が いつしかなして 岩田帯
○向かいの山で 啼くひよどりは 啼いては下がり 啼いては上がり 朝草刈りの 目をば覚ます 朝草刈りの 目をさます
○波の屋島を 逃れ来て 薪(たきぎ)樵(こ)るちょう 深山辺に  烏帽子狩衣 脱ぎ捨てて 今は越路の 杣(そま)刀
○向いの山に 光るもんにゃ何じゃ 星か蛍か 黄金の虫か  今来る嫁の 松明ならば 差しゃげて 燃やしゃれ やさ男
○漆千杯 朱千杯 黄金の鶏一番 朝日かがやき 夕日さす 三つ葉うつ木の 樹の下に
○色は匂へど 散りぬるを 我世誰ぞ 常ならむ  憂ゐの奥山 今日越えて 浅き夢みし 酔ひもせず


利賀こっきりこ 歌詞
○こっきりこの小竹 七寸三分 長いは袖の じゃまになる
○向かいの山を 光るもんが通る 星か蛍か 黄金の虫か 今来る嫁の 松明か
○今来る嫁の 松明なれば さしあげ灯せ やさ男
○向かいの山になくひよどりは 鳴いては下がり歌うては上がる 朝草刈りの 目を覚ます
○平紋弥に 利賀谷(とがだん)麦屋 東百瀬は こっきりこ
○十七八の 濁り川を渡る 我が妻なれば 負うて越えてたもれ あの山陰で 落ち合おね

麦屋節 歌詞
○麦や菜種はイナ 二年でイナ 刈るにヤーイナ 麻が刈らりょうかイナ 半ナ土用にイナ         
○波の屋島をイナ 遠く逃れナ 来てヤーイナ 薪(たきぎ)樵(こ)るちょうイナ 深山辺にイナ
○烏帽子狩衣イナ 脱ぎ打ちイナ 捨ててヤーイナ 今は越路のイナ 杣(そま)屋かなイナ
○心淋しやイナ 落ち行くイナ道はヤーイナ 川の鳴瀬とイナ 鹿の声イナ
○川の鳴瀬にイナ 絹機イナ たててヤーイナ 波に織らせてイナ 岩に着しょイナ
○差した杯イナ 中見てイナ 上がれヤーイナ 中は鶴亀イナ 五葉の松イナ
○鮎は瀬につくイナ 鳥ゃ木にイナ 止まるヤーイナ 人は情けのイナ 下に住むイナ
○これのお背戸にイナ 茗荷とイナ 蕗とヤーイナ 冥加目出度いイナ 富貴繁盛イナ
○越中五箇山イナ 蚕のイナ 本場ヤーイナ 娘やりたいイナ 桑摘みにイナ
○唄が織るかやイナ 乙女がイナ 織るかヤーイナ 唄と乙女がイナ 綾になるイナ
○唄と踊りはイナ いつしかイナ 更けてヤーイナ 月を宿したイナ 笠の露イナ
○これの館はイナ 目出度いイナ 館ヤーイナ 黄金柱にイナ 銭すだれイナ
○鳥が啼いてもイナ まだ夜はイナ 深いヤーイナ 心よたかにイナ 寝てござれイナ
○輪島出てからイナ 今年でイナ 四年ヤーイナ 元の輪島にイナ 帰りたいイナ

<文句入り麦屋>
○竹の切り口ゃイナ コリャ すこたんこたん なみなみちゃんぷり チョイト溜まりイナ 水ヤーイナ
  澄まず濁らずイナ 出ず減らずイナ
○昔ゃ芭蕉の葉にイナ コリャ 「一筆啓上 おいたし候 そこもと御無事」と書いたるイナ けれどヤーイナ
  今は松の葉にイナ ただ一字イナ
○江戸の歳福寺のイナ コリャ 蔵の森の鷺の首は 細うて長うて 真ん中ほどで ギックリ曲がって なり首イナ 長いヤーイナ
  それでなければイナ 江戸の歳福寺の 蔵の切り窓へ 覗かれんイナ

<長麦屋>
○麦や菜種はイナ 二年でイナ(アー刈るにヤー 麻が刈らりょかイナ 半土用にイナー)
○これの館はイナ 目出度いイナ(アー館ヤー 鶴が御門さんにイナ 巣をかけたイナー)

<早麦屋><小谷麦屋節>
○小谷(おたん)高草峯イナ 平のイナ 前でヤー およき呼び出すイナ 鳥が啼くイナ
  <小谷峠の七曲り ソリャ昼寝しょんなら良いとこじゃ 猪ゃ豆食って ホホイノホーイ>
○鳥が啼いてもイナ まだ夜はイナ 明けぬヤー 心豊かにイナ 寝てござれイナ
○岩にゃ下り藤イナ コリャとびつき はえつき しがらみついたが 見事なイナ ものじゃヤー
  よその花ならイナ 見たばかりイナ
 <大野の権兵衛さんは 色こそ黒けど 名代の男じゃ オッソコソコソコ)
○五箇の谷間にイナ 種をばイナ 移しヤー 元の都にイナ 花咲かすイナ
○器量が良いかとてヤイナ 気がイナ 良いものかヤー 茨牡丹のイナ 花を見よイナ
○利賀の西勝寺はイナ 山寺イナ なれどヤー 萱がないやらイナ こけら葺きイナ
 <鍋釜売っても 良い嬶とられや 一生の得だよ 末代道具じゃ オッソコソコソコ>
利賀麦屋節 歌詞
○麦や菜種はイナ 二年でイナ刈るにヤーイナ 麻は半年(はんどし)イナ 土用に刈るイナ
○屋島出る時ゃイナ 涙でイナ出たがヤーイナ 住めば都のイナ 五箇の里イナ
○竹の切り口 コリャ四五寸上がりて スコタンコタンやなみなみちゃんぶり ちょいと溜まりイナ 水よヤーイナ
 澄まず濁らずイナ 出ず減らずイナ
○心さみしやイナ 落ち行くイナ道はヤーイナ 川の鳴る瀬とイナ 鹿の声イナ
○川の鳴る瀬にイナ 絹機イナ立ててヤーイナ 波に織らせてイナ 岩に着しょイナ
○ここも雲居とイナ 頼みしイナ空をヤーイナ 落ちて越路へイナ 雁の群れイナ
○わしが友だちゃイナ コリャこれより東の だんだら畑の 傾斜(かたがり)畑の  三角畑の 真ん中ほどなる 
  茶の木の下にと 蒔かずに生えたる 一本育ちの 黄色や真っ赤や 五色に咲いたる 菜種のイナ花よヤーイナ
  盛り過ぎればイナ ちらばらりイナ
○利賀の西勝寺イナ 山寺イナなれどヤーイナ 茅がないやらイナ こけらぶきイナ

古代神・小代神 歌詞
<古代神>
○わしのサーエ 殿マをほめるじゃないが
 
大工木挽きや 桶屋もなさる
  人が頼めば 左官もなさる 
人の頼まぬ 餌差がすきで 
 餌差でるときゃ 衣装からちがう
 紺の股引 ビロードのきゃはん
 浅黄こうかけ 切り緒のわらじ
 腰に餅箱 手に竿持ちて 
 向こうの小山に 登りて見れば
 松の小枝に 小鳥が一羽 
 小鳥めがけて 竿さし出せば
 竿は短し 中次ぎ持たず 
 鳥の方から 申するようには
 あなた餌差か わしゃ百舌の鳥 
 ご縁あるなら 次に来てさしゃれサーエ


<小代神(しょうだいじん)
○おらちゃサーエ お背戸に山椒の木がござる そのマ山椒の木に 蜂が巣をかけた
  蜂も蜂かよ 足長蜂じゃ 羽が四枚あって 足が六本ござる
  そのマ蜂めは 尻に剣もござる わしとお駒が 御拝の縁で
  心中話をしておりますと そこへ蜂めが パーッと来て チクリ刺す
  ツーッと来ちゃ チクリ刺す
  わしもそのときゃ 死ぬかやと思うた サ−エ

船のサーエ 船頭さんに木綿三反もろた 私が着ようか 殿マに着しょうか
 
殿マ着るときゃ 染めねばならぬ 白く染めれば 兎のようになる (赤く染めれば 狐のようになる)
 
黒く染めれば 烏のようになる 何に染めよと 紺屋のおやじに問えば
 
紺屋のおやじは思いつきやる 一に朝顔 二に杜若
  三に下り藤 四に獅子牡丹
 五つ伊山の千本桜 六つ紫 桔梗に染めて
  七つ南天花 八つ八重桜 九つ小梅に 小ちらしつけて

 
十で殿マにこれを縫うて着しょうか サーエ

○家のサーエ 小娘ふじゃけたじゃけた 赤い襷を ちょいちょいかけて
  背戸の小川へ 朝水汲みに 船の船頭さんに 晒三尺もろた
  何に染めよかと 紺屋の兄さんに問えば 
 一に朝顔 二に杜若
  三に下がり藤 四に獅子牡丹
 五つ伊山の千本桜 六つ紫 桔梗に染めて
  七つ南天 八つ八重桜 九つ小梅を ちらしに染めて

 
十で殿御の 好きなように染めやしゃんせ サーエ

○わしのサーエ お背戸に桃の木がござる そのマ桃の木に 鳥が巣をかけた
  なした鳥じゃと 立ち寄り見れば 白い黒いの 金色の鳥
  何とさえずる ねんつくじて聞けば 君にけんころがって おるめんだんすの するめんするか
  いっさい雌鳥 福山神とさえずる サーサあの鳥ゃ 名のある鳥じゃ サーエ

○おらちゃサーエ 在所に 変なことぁござる 村の川原の あっち向いた土手に
  昔刻んだ 石の地蔵ござる 月の一日と 十五日と二八日は 月に三度の ご開帳がござる
  若い衆参れば にこにこ笑う 年寄り参れば あっち向いて しかめてござる
  とかくあの地蔵ぁ 色の道の地蔵だ サーエ
 

といちんさ節 歌詞
○樋のナーサイチン 機織る音に (トイチントイチントイチンサ ヤーサレーチトーチレーチ トイチンサ トイチンサ)
  拍子ナー揃えて ササ歌い出す(ヤレカケはやせよ トイチンサ トイチンレーチ ヤーサレーチ トイチンサ トイチンサ)
                                                     (以下、唄ばやし同様)
○わしがナー若い時ゃ 五尺の袖で  道のナー小草も ササなびかせた
○鳥がナー歌えば はや夜も明ける  紙屋ナー覗きの ササ窓もはる
○声はナ−かれても まだ気はかれぬ  藤のナ−花咲く ササほととぎす
○来いとナー言われず 手で招かれず 笹の五十竹(いささ)の ササ葉で招く
○鳥がナー歌えば はや夜も明ける  起きてナー働く ササわが娘

お小夜節 歌詞
○名をつきょうなら お小夜につきゃれ お小夜器量よし 声もよし 声もよし 声もよし
  (ヨイトコショー ヨイトコショー)         (以下、唄ばやし同様)
○峠細道 涙で越えて 今は小原で 侘び住まい 侘び住まい 侘び住まい
○庄の流れに 月夜の河鹿 二人逢瀬の 女郎が池 女郎が池 女郎が池
○輪島出てから 今年で四年 元の輪島へ 帰りたい 帰りたい 帰りたい
心細いよ籠のり渡り 五箇の淋しさ 身にしみる 身にしみる 身にしみる

五箇山追分 歌詞
<なげ節>
牛と主との 心の通い 手綱便りに 道語る

○牛は六歳七ツが盛り 人は二十一、二が盛り  <ハイ トッパメー>

<追分>
○五斗俵かづいてもイナ 道若杉ぬイナ (ハ オッソコソコソコ)
  男伊達なら 二俵かづくイナ (ハ オッソコソコソコ)      (以下、唄ばやし同様)

○五斗俵二俵はイナ 及びもないがイナ  せめて楮(こうぞ)の いわごいをイナ
姿見えねどイナ 朝霧ついてイナ 唄は追分 鈴の音イナ
朴峠(ぼとうげ)追分イナ 身の毛もよだつイナ  下は谷底 人喰らいイナ
○牛の二俵はイナ 鈴の音高いイナ 追うは無駄ごと ひかれづめイナ
高い山からイナ 谷底見ればイナ 瓜や茄子の 花盛イナ 

四つ竹節 歌詞
○越中五箇山 蚕の本場 娘やりたや あの桑摘みに たからゆたかな 麦屋がおさと
○唄は唄でも めでたの麦屋 伊達や自慢で 歌うじゃないが 麦屋おらちゃが 山家のものよ
○山は深うても 紅葉の深山 御子(おし)や嫁さも 麦屋で越すが 越すに越されぬ 細尾の吹雪