磯 節 歌詞
(ハーサイショネ)
○磯で名所は 大洗様よ (ハーサイショネ) 松が見えます ほのぼのと 
(松がネ)見えますイソ ほのぼのと  
※ 以下唄ばやし同様

○三十五反の 帆を捲き上げて 行くよ仙台 石巻 (行くよネ)仙台イソ 石巻

○船はちゃんころでも 炭薪(すみまき)ゃ積まぬ 積んだ荷物は 米と酒 (積んだネ)荷物はイソ 米と酒

○荒い波風 やさしく受けて 心動かぬ 沖の石 (心ネ)動かぬイソ 沖の石

○ゆらりゆらりと 寄せては返す 波の背に乗る 秋の月 (波のネ)背に乗る 秋の月

○葵の御紋に 輝朝日かげ 薫も床しい 梅の花 (薫もネ)床しいイソ 梅の花

○あれは大洗 大洗松よ 鹿島立ちして 見る姿 (鹿島ネ)立ちしてイソ 見る姿

○あまの小舟の わしゃ一筋に 主を頼みの 力綱 (主をネ)頼みのイソ 力綱

○当たって砕けて 別れてみたが 未練でまた逢う 岩と波 (未練でネ)また逢うイソ 岩と波

○朝日昇るよ 神磯上へ 降りて鎮まる 大洗 (降りてネ)鎮まるイソ 大洗

○磯や湊の 東雲鴉 来ては泣いたり 泣かせたり (来てはネ)泣いたりイソ 泣かせたり

○磯で曲り松 湊で女松(めまつ) 中の祝町 男松 (中のネ)祝町イソ 男松

○磯の鮑を 九つ寄せて これが九貝(苦界)の 片想い (これがネ)九貝のイソ 片想い

○行こか祝町 帰ろか湊 ここが思案の 橋の上 (ここがネ)思案のイソ 橋の上

○色は真っ黒でも 釣竿持てば 沖じゃ鰹の 色男 (沖じゃネ)鰹のイソ 色男

○岩に寄りつく 青海苔さえも 好かれりゃ焼いたり 焼かせたり (好かれりゃネ)焼いたりイソ 焼かせたり

○羨ましいぞえ あの碇綱 みずにおれども 切れやせぬ (みずにネ)おれどもイソ 切れやせぬ

○沖にチラチラ 白帆が見ゆる あれは湊の 鰹船 (あれはネ)湊のイソ 鰹船

○沖の漁火 三つ四つ五つ 月の出潮に 見え隠れ (月のネ)出潮にイソ 見え隠れ

○沖の暗いのに 苫とれ苫を 苫は濡れ苫 とまとれぬ (苫はネ)濡れ苫イソ とまとれぬ

○沖の瀬の瀬の 瀬で打つ浪は みんなあなたの 度胸さだめ (みんなネ)あなたのイソ 度胸さだめ

○沖の瀬の瀬の 瀬の瀬の鮑 主さんが取らなきゃ 誰が取る (主さんがネ)取らなきゃイソ 誰が取る

○沖に見ゆるは 大亀磯よ 鶴も舞い来る 真帆片帆 (鶴もネ)舞い来るイソ 真帆片帆

○沖の鴎に 汐どき聞けば 私ゃ立つ鳥 波に聞け (私ゃネ)立つ鳥イソ 波に聞け

○沖の鴎と 芸者のつとめ 浮いちゃおれども 身は苦界 (浮いちゃネ)おれどもイソ 身は苦界

○沖で鰹の 瀬の立つ時は 四寸厚みの 櫓がしなう (四寸ネ)厚みのイソ 櫓がしなう

○思い重ねて 波打つ胸に 春の南東風(いなさ)が 肌をさす (春のネ)南東風がイソ 肌をさす

○親のない子と 浜辺の千鳥 日さえ暮れれば しをしをと (日さえネ)暮れればイソ しをしをと 

○海門橋とは 誰が岩船の 恋の浮名も 辰の口 (恋のネ)浮名もイソ 辰の口

○君と別れて 松原行けば 松の露やら 涙やら (松のネ)露やらイソ 涙やら

○君を松虫 涼みの蚊帳に 更けて差し込む 窓の月 (更けてネ)差し込むイソ 窓の月 

○恋の那珂川 渡しを止して 向こうへ想いを 架ける橋 (向こうへネ)想いをイソ 架ける橋

○心残して 湊の出船 揚がる碇に すがる蟹 (揚がるネ)碇にイソ すがる蟹

○心寄せても さきゃ白波の 磯の鮑の 片想い (磯のネ)鮑のイソ 片想い

○咲いてみしょとて 磯には咲けぬ 私ゃ湊の 浜の菊 (私ゃネ)湊のイソ 浜の菊

○実の平磯 情けの湊 男伊達なる 磯の浜 (男ネ)伊達なるイソ 磯の浜

○白む沖から 朝霧分けて 夜網上げくる 流し船 (夜網ネ)上げくるイソ 流し船

○潮風吹こうが 波たたこうが 操かえない 浜の松 (操ネ)かえないイソ 浜の松

○汐どきゃいつかと 千鳥に聞けば 私ゃ立つ鳥 波に聞け (私ゃネ)立つ鳥イソ 波に聞け

○汐は満ち来る 想いはつのる 千鳥ばかりにゃ 泣かしゃせぬ (千鳥ネ)ばかりにゃイソ 泣かしゃせぬ

○すがりついても 主ゃ白波の 磯の鮑で 片想い (磯のネ)鮑でイソ 片想い

○底の知れない 千尋の海に 何で碇が おろさりょか (何でネ)碇がイソ おろさりょか

○浪が打ち寄る 磯辺の月に 泣くは千鳥と わしばかり (泣くはネ)千鳥とイソ わしばかり

○涙隠して 寝る夜はともに 浜で千鳥が 泣き明かす (浜でネ)千鳥がイソ 泣き明かす 

○泣いてくれるな 出船の時にゃ 沖じゃ櫓櫂が 手につかぬ (沖じゃネ)櫓櫂がイソ 手につかぬ

○西は広浦 東は那珂よ 漁る蓑着に 水焔る (漁るネ)蓑着にイソ 水焔る

○原山並木が 何恐かろう 惚れりゃ三途の 川も越す (惚れりゃネ)三途のイソ 川も越す

○平磯沖から 帆を巻き上げて 那珂の川口 走り込む (那珂のネ)川口イソ 走り込む

○人の前浜 何怖かろう 入道山さえ 越えて行く (入道ネ)山さえイソ 越えて行く

○更けて琴弾く 浜松風に 鼓打ち合う 浪の音 (鼓ネ)打ち合うイソ 浪の音

○船の戻りが 何故遅かろう ちょうど東南風の 送り風 (ちょうどネ)東南風のイソ 送り風

○船は千来る 万来る中で わしの待つ船 まだ来ない (わしのネ)待つ船イソ まだ来ない

○船底枕で 寝る浜千鳥 寒いじゃないかい 波の上 (寒いじゃネ)ないかいイソ 波の上

○湊とまりに 入り来る船は 夢も静かな 舵枕 (夢もネ)静かなイソ 舵枕

○水戸を離れて 東へ三里 波の花散る 大洗 (波のネ)花散るイソ 大洗

○水戸の梅が香 どこまで香る 雪の桜田 御門まで (雪のネ)桜田イソ 御門まで 

○山で赤いのは 躑躅に椿 咲いて絡まる 藤の花 (咲いてネ)絡まるイソ 藤の花

○私ゃ平磯 荒浜育ち 波も荒いが 気も荒い (波もネ)荒いがイソ 気も荒い

○私とあなたは 酒列磯よ 世間並みには 添われない (世間ネ)並みにはイソ 添われない 


○春の曙 見渡す船は 浪も静かに 帆を上げて (来るよネ)鮪のイソ 大漁船

○夏の夕暮れ 千船の帰帆 釣った鰹は 朝鰯 (あれはネ)湊のイソ 大漁船

○秋は広浦 船行く空も 晴れて嬉しき 月今宵 (招くネ)尾花をイソ 女郎花

○冬枯れ寒さに 彩る浪は どこに群がる 大鰯 (獲ってネ)五反のイソ 萬祝



○水戸で名所は 偕楽園よ 梅と躑躅に 萩の花 (月のネ)眺めはイソ 千波沼

○月の姿に ついほだされて 鳴くや千波の 渡り鳥 (鳴くやネ)千波のイソ 渡り鳥

○深き思いの あの那珂川に 水に焦がれて のぼる鮭 (恋はネ)浮名をイソ 流し網

○平磯名所は 磯崎岬 君が建てたる 観濤所 (下にネ)護摩壇イソ 神楽岩

○浪に浮かれた 鰯の色は 沖で鴎が 立ち騒ぐ (舟でネ)鴎がイソ 立ち騒ぐ

○昇る朝日に 白帆が見ゆる あれは函館 鰊船 (摘んだネ)荷物はイソ 那珂湊

○春の出初めに 白帆が三艘 初め大黒 なか恵比須 (あとのネ)白帆はイソ よろずよし

○新艘おろして 七福神が 大漁祝いも 初日の出 (鶴とネ)亀とがイソ 舵を取る

○もしや来るかと わが胸騒ぎ 惚れりゃ風にも だまされる (憎やネ)嵐がイソ 戸を叩く

大洗甚句
(テヤ テヤテヤテヤ イササカリンリン スカレチャドンドン サイショネ)
○私に逢いたけりゃ 音に聞こえし大洗下の (サイショネ)
 大きな石をかきのけて(ソレ)
 小ちゃな石をかきわけて(ソレ)
 細かい小砂利を 紙に包んで 三尺小窓 小屏風の陰から
 パラリパラリと 投げしゃんせ(ソレ)
 その時ゃ私が 推量して
 雨が降ってきたとイソ 逢いに出る
(テヤ テヤテヤテヤ イササカリンリン スカレチャドンドン サイショネ)

○私と行かぬか あの海原へ(オヤ 何しにネ)
 船を漕ぎ漕ぎ 語り合い (嬉しいネ)漕ぎ漕ぎイソ お楽しみ