〜徳島県徳島市〜

四国・徳島の夏は阿波踊り。もはや徳島の夏というよりは日本の夏のイメージといっても過言ではないかもしれません。

「エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイ…」や「踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊るにゃ損々」といった有名な唄ばやし、そしてリズミカルな太鼓、鉦、そして三味線に笛の囃子にのって、踊られる様子は実に楽しそうです。毎年、8月12〜15日の4日間、徳島市をあげて踊られます。また徳島市以外でも、鳴門市では8月/9〜11日、鴨島町8月14〜16日、貞光町8月15〜16日、池田町8月14〜16日といった日程で踊られています。

伝説では、天正13年(1585)に阿波・徳島藩主・蜂須賀家政公が、徳島城落成を祝って招いた領民たちが踊ったのが始まりと言われています。

現在の歌は「よしこの」と呼ばれています(前身は「都々逸」です)。ただ、この手を挙げて踊るスタイル、リズミカルに跳ねるような音型の三味線の伴奏は九州のハイヤ節が源流です。ハイヤ節というと熊本県牛深の牛深ハイヤ節が元唄とされています。そしてこれが北前船などの船乗りが覚えて、全国各地の港町に伝えられたといいます。
それが徳島にも伝えられたもののようです。


それが徳島では盆踊りにも使われるようになったのですが、明治期にその盆踊りも廃れたといい、そのころ流行っていた「よしこの節」を「ハイヤ節」の伴奏に合わせて歌うようになったものが、今日の「阿波踊り」だそうです。

阿波踊りの独特な囃子を「ぞめき」といいます。本来「ぞめき」とは「賑やか」とか「騒ぐ」といった意味で使われますが、阿波踊りでは連によって独特なお囃子である「ぞめき」があるそうです。そして、この囃子にのせて歌われる「よしこの節」は、ぞめきとは打って変わって、朗々と歌われます。拍節的な「ぞめき」に対し、「よしこの節」は、非拍節的な音楽で、明らかに違う種類の音楽が重なり合うように奏されているということができます。その名人が、多田小餘綾(ただ こゆるぎ)さんこと、お鯉さんです。2008年に100歳で亡くなられましたが、粋な歌い方は絶品です。

大変リズミカルに踊られ、しかも連によって工夫された踊りが楽しい「阿波踊り」。しかし、以前テレビ放映で、生前のお鯉さんのインタビューの中で、近年そのテンポが速くなったとのことです。音楽は生き物ですし、時代による変化もあるのでしょう。しかし、お鯉さんのような情緒を味わいながらの阿波踊りを、改めて感じ取りたいものです。

わたくしは、阿波踊りをまだ踊ったことも見たこともありません。いつか機会を作って、徳島を訪ねたいものです。

使用させていただいた阿波踊り画像は、徳島生まれの村ちゃんにいただきました。村ちゃんのサイトは、
使用させていただいた阿波踊り画像は、四国の温泉を中心に広く紹介されておられる、リックさんにいただきました。