〜岩手県盛岡市〜

岩手県は多様な民謡が残されていますが、特に近年、全国区レベルで人気が知られるようになってきたのが《盛岡さんさ踊り》です。

◆岩手山と北上川〜盛岡市

「さんさ」については、次のような伝説が知られています。
城下町・盛岡の東顕寺の裏に、文字通り石を御神体とする「三ッ石神社」があります。これは岩手山(2,038m)が大噴火したとき、大きな岩が三つに割れて飛んできたといい、それ以来、ありがたい石だということで信仰を集めるようになったといいます。一方、昔「羅刹(らせつ)」という鬼がいて、たびたび里に現れては里人に乱暴を繰り返していたそうな。そこで、苦しめられた里人が「三ッ石神社」に願って、鬼を捕らえ、石に縛りつけてもらいました。すると、その鬼は、とうとう泣き出し、二度とここには現れないとの約束をし、その約束の証拠として、三ッ石に手形をおさせて逃がしてやったそうな。それから、鬼も来なくなったので、この辺を「不来方(こずかた)」と呼ぶようになったといい、「岩手」の地名も、「岩」におした鬼の「手」形に由来するそうです。
そして、鬼が来なくなったことを喜んだ里人が、この三ッ石を囲んで「さんささんさ」といって歌い踊ったのが「さんさ踊り」だとか。

現在では毎年8月1〜3日に盛大に「盛岡さんさ踊り」として、各種団体が華やかに踊りのパレードを繰り広げられています。特に目を引く装束は、蓮華をかたどった花笠、胸前に付ける大きな太鼓、そして5色あるいは7色の腰帯をなびかせて、勇壮に踊られています。

現在「盛岡さんさ踊り」として踊られているものは、ある年に統一されたもので、実際には盛岡市を中心に数々の「さんさ踊り」があります。盛岡市内だけでも、三本柳、羽場、黒川、大ケ生・城内、下飯岡・下久根、乙部、大宮、北山、山岸、門、上米内・庄ケ畑、猪去、上厨川、東安庭、東中野町、中太田等にそれぞれ独自の「さんさ踊り」が伝承されています。各地区で、はやしが違ったり、テンポや節回しも違いがあるそうです。また演目もそれぞれ独自のものを持っています。

8月の「盛岡さんさ踊り」では、これらを基本に
「統合さんさ」「七夕くずし」「栄夜差踊り」 が統一されて、踊られているのだそうです。


唄の特徴は東北の山伏神楽を彷彿とさせるような、装飾音の多い笛のメロディに、激しく打ち鳴らされる大きな締太鼓、それにポリフォニオックに唄のメロディが重ねられます。また「サッコラーチョイワヤッセ」の唄ばやしが、唄と重なるようにかけられます。

わたくし《盛岡さんさ踊り》はまだビデオでしか見たことがないです。最近はテレビ中継などもされ見る機会も増えました。ぜひ実際に見てみたいものです。