名古屋甚句 歌詞
【前唄】
○アーエ恋のヤー こいのこいの鯉の滝昇りゃ 何と言うて登るエー  山をヤー 川にしょうと コリャ 言うて登るエー

○アーエさらばヤー これから甚句を変えてエー 今のヤー 流行のストトコ節でも エー 聞いておくれエー


【本唄】 
○アーエ宮の熱田の 二十五丁橋でエー
  アー西行法師が腰をかけ 東西南北見渡して これほど涼しいこの宮を
     誰が熱田とヨーホホ アー名を付けたエー トコドッコイドッコイショ

○アーエ花の名古屋の 碁盤割りはエー
  アー都に負けない京町や 竜宮浄土の魚の棚 七珍万宝詰め込みし 大黒殿の袋町 広小路から見渡せば 
    なかなか届かぬ鉄砲町 次第次第に末広の 家並みは続く門前町
    さても名古屋のヨーホホ アー繁盛ぶりエー トコドッコイドッコイショ

○アーエ尾張大納言さんの 金の鯱鉾の 言うこと聞けばエー
  アー文明開化の世となりて 高い城から下ろされて 咎(とが)ないわたしに縄をかけ 離れ離れの箱の内
    蒸気船にと乗せられて 東京までも送られて 博覧会にさらされて こんなに悔しいことはない
    いっそ死んだがましかいな 一人で死ぬのはよけれども お前と一緒に死んだなら
    人が真鍮(心中)じゃとヨーホホ アー言うであろうエー トコドッコイドッコイショ

 
(名人づくし…服部鋭夫 作詞)
○アーエ尾張名古屋は ありゃ芸どころエー
  アー名古屋三山の昔より 名優名手は数あれど 花のお江戸で名をあげし 初代中村勘三郎
     尾上梅幸は立女形 市川中車に沢村訥子 千両役者は宗十郎 
     地役者ながらも東西に その人ありと知られたる 中山喜楽は芸の人 萩野検校は平家琵琶
     豊竹呂昇は義太夫で 踊りは西川鯉三郎 名古屋甚句は甚鍵と 岡本美代治が名をとどむ
     かく言う私も民謡に ただ一筋に打ち込んで 歌い続けておりまする 皆々様には及ばねど 精魂かたむけつとめます
     よろしゅうご贔屓ヨーホホ アー頼みまするエー トコドッコイドッコイショ


【名古屋名物】
○名古屋名物 おいて頂戴もに すかたらんにおきゃせ ちょっともだちゃかんと くだるぜも
  そうきゃもそうきゃも何でゃあも 行きゃすか置ききゃすか どうしゃあす
  お前(みゃ)はまこの頃 どうしゃあた 何処ぞに姫でも出来せんか
  出来たら出来たと言やせも 私も勘考(かんこ)があるわゃあも おそぎゃぜも

○名古屋名物 おいて頂戴もに すかたらんにおきゃせ ちょっともだちゃかんと くだるぜも
  そうきゃもそうきゃも何でゃあも とろくさゃあこと言やあすなも
  やっとかめなことあらすかえ お前はまちょぽっと来やせども お前さん家にはおれせんが
  やあたらしいこと止めてちょう つめぎるぜえも

(以下、服部鋭夫 作詞)

○名古屋名物 けんたいぶるとごうたがわくにおきゃせ ちょっとは偉い顔止めゃせも
  そうきゃもそうきゃも何でゃあも たいもないこと言ゃあすな やることなすこと台無しで
  ねっちもこっちもなれせんで 裸のはちべの気になって
  どてっと構えておるぎゃあも そうましいぜえも

○名古屋名物 知っていりゃあすきゃも 名代の外郎(ういろ)にきしめんに かしわのひきずりあがりゃせも
  そうきゃもそうきゃも何でゃあも 行きゃすか置ききゃすか どうしゃあす
  お城もええけどテレビ等 登ってみやあせ閑所まで 手に取るごとくに見えるけど
  人には言わすとちょうりゃあも 気いやむぜえも

○名古屋名物 旨ゃあもんならかしわに外郎にきしめんに 守口漬などわるにゃぜも
  そうきゃもそうきゃも何でゃあも やっとかめだが どうしゃあす
  今晩暇ならいりゃせんか お酒の燗して待つゃあも 酔ったら寝ゃあせこの膝で
  気ぃ揉む人でもあれせんきゃ つねきるぜえも

○名古屋名物 知っていりゃあすきゃも お城に大須に熱田様  納屋橋 山王橋 尾頭橋
  そうきゃもそうきゃも何でゃあも 聞くも涙の橋もある
  亡き子の供養に架け替えた 裁断橋の擬宝珠には 堀尾金助おん母の
  後の世までもの念じ文 泣かせるぜえも