西馬音内盆踊り 歌詞

《音 頭》
○ヤートーセ ヨーイワナーセッチャ(キタカサッサ ドッコイナ)
 
○ホラ時勢はどうでも世間はなんでも 踊りコ踊らんせ(アーソレソレ) 日本開闢天の岩戸も 踊りで夜が明けた
   (キタカサッサ キタカサッサ ドッコイナ) 
※以下、掛け声同じ

○ホラ見れば見るほど優しい踊りで 拍子も穏やかに 天下泰平五穀は豊作 百姓大当たり

○ホラ子どもの踊りは無邪気なものだよ 拍子は何でもええ ドロンの太鼓でお手手を広げて 一足前に出る

○ホラ踊りの上手も見目の宵のも 土地柄血筋柄 何でもかんでも嫁コを欲しりゃ ここから貰わんせ

○ホラドドンと響いた櫓太鼓に 集まる踊り娘は 馬音の流れに産湯を使った 綺麗な嫁コ達

○ホラ彦三頭巾に振付姿は 誠に艶(あで)なもの 誰や彼やは分からぬながらも 踊り子懐かしい

○ホラ今年の踊り子ぁ 揃うも揃うた 本当によく揃うた 彦三頭巾に艶な編笠 振付ゃ日本一

○ホラ高い櫓の絵灯籠が灯って 音頭が湧き出れば 川原田の方から月が出てきて 雲から覗いてる

○ホラ神代の昔に踊りコ踊たば お日様顔出した それから毎月踊りコ見でぁどで 欠かさず顔を出す

○ホラ出雲の神様踊りコ見でぁどで はるばるやってきた 上手に踊れば手帳サ控えて 嫁コに早くやる

○ホラ踊るはねるて若い内だよ おらよに年いげば なんぼ上手に踊って見せだで 誰も見るひとねえ

○ホラ大太鼓小太鼓 笛三味線 鼓に摺り鉦コ 五拍子そろえて音頭をかけたば 江戸中鳴り響いた

○ホラ取ってきた 取ってきた 一番取ってきた おら方の踊りコぁ江戸の舞台で 一番取ってきた

○ホラ振袖姿の踊り子見たれば 不思議に若くなった 拍子にうかれて二足三足 知らねで踊ていた

○ホラ所名物行ったら見てこい 西馬音内盆踊り 嫁コも姑コも拍子につられて そのまま踊り出す

○ホラ信淵先生生まれた西馬音内 名物たんとある 米コに繭コ 酒コに糸コ 炭コにハシコです

○ホラ今年は豊作田圃を見渡せ 黄金の稲だらけ 盆踊り踊ってお祭り見てから うんとて稲刈りせえ

○ホラ何処さ行っても不景気話はせつぺあに聞き飽きた 三味線太鼓の踊りの拍子で 不景気追(ぼ)ってやれ

○ホラ三月かかって踊りコ習うたば ようやくものになた 踊ったおかげで腰あンべよいどて 嫁コに貰われた

○ホラ豊作だ万作だ これまたよい秋だ 面白まぎれにもひとつ踊たば かかぁ腹万作だ

○ホラとうに年寄りの踊りコよいどて みんなでおだてたば 本気になりゃがて 振袖持ってこい 編笠早く出せ

○ホラ一杯機嫌で踊りコ踊たば 皆に褒められた いい気になりゃがてホカブリ取ったれば 息子に怒られた

○ホラ隣の嫁コさ盆踊り教えたば ふんどし礼に貰た 早速持ってきてかがどさ見せたば 横面殴られた

○ホラ地口という奴ぁ口からでまかせ 音頭の無駄を言う 言われて悪い奴ぁ後さ回って 一斗(五升)樽ぶら下げれ

○ホラ地口櫓で地口を言うのは おらよな奴ばかり 気の利いた兄ちゃんはぐりっと回って 二三度やった頃だ

○ホラおら家のお多福ぁ滅多にないこと 鬢(びん)取って髪結うた お寺さ行ぐどて蕎麦屋さ引っ掛かって みんなに笑われた

○ホラおら家の爺さまと隣の婆さまは よっぽど仲がええ お寺さ行ぐどて蕎麦屋さ引っ掛かって お布施で酒呑んでた

○ホラ兄さん兄さん嫁コを取るなら おれどこ貰てけれ 踊りも踊るし唄コも歌うし お産も軽いから

○ホラおら家のめらしコ盆踊り始まりゃ 仕事さ手につかね 太鼓の拍子で腰巻縫ったば 表さ裏着けた

○ホラ内気な兄ちゃを無理矢理引っ張ってきて 踊りコ見に行ったば 赤いけだしの踊り子姿に 家さなど戻る気ねえ

○ホラ西馬音内名物 橋場饅頭に 薄皮青饅頭 おら家の赤ちゃんまたも饅頭で 姑かが大むくれ

○ホラ良い事悪い事地口櫓で あんまりしゃべてけな 隣の嫁コぁ何とか言われて その晩追出(ぼだ)された

○ホラ桜は川原田 つつじは原コで お酒は若返り 一杯機嫌で弥助蕎麦だよ 土産は蕎麦饅頭

○ホラ二万石橋から東を望めば 川原田稲荷様 西は鳥海北は大沢 南は原コ山

○ホラお前達お前達行くたて来るたて 電車に乗ることだ 白山権現三輪の三社に アグリコ稲荷様

○ホラ雄勝鉄道の電車に乗ったば これなば気持ちええ 雄物の川越え稲穂の波わけ 鳥海雲に見る

○ホラ川原田の池には緋鯉に真鯉 じょろじょろ遊んでる たまには木陰にがさごそめかして 浴衣の鯉もいる

○ホラ蚕で糸取る馬コで仔コ取る 女郎衆は客を取る 町でぁ盆踊りで人々集めて いろいろ人気取る

○ホラ囲炉裏のカネガメ カネ出すときには くさいと嫌がられ それでもあねさん口ま吸われて 鏡で身を照らす

○ホラ秋田の西馬音内本当によいとこ 皆さん来てたんせ 湯沢の駅から道のり二里半 車で十五分

○ホラドッコイドヤ箱ドッサリかついで ドヤさん何処へ行く 隣の婆んば分福茶釜を ぶっ壊した話聞いで

○ホラ水屋(みじや)コの隅(すま)コの笊コのひろコを 味噌コで和えたとさ 表の座頭コに食わせてみせたば うまいと喜んだ

○ホラ田沢の田吾作芋作茂作は 橋場の橋見てた どんがりふんでみて 鉄筋コンクリって やっぱり堅えもんだ

○ホラ太平の山から納豆ズト投げたば 西馬音内糸だらけ アメリカやって来て糸コを買ったば 西馬音内大繁盛

○ホラ仙道の婆っぱアンテナ見上げて 爺さん大変だ コレセアきっと六尺坊主の 物干し竿だんべ

○ホラ国史に登った学者の中でも 優れた信淵さん 生まれは何処だとたずねてみたれば 秋田の西馬音内

○ホラ豊年満作今年も上作 御嶽(みたけ)のおまもりだ あげる御神酒は松の緑に 鶴の若返り

○ホラ稲作不作はどこの話だ 西馬音内上作だ それもそのはず百姓の神様 信淵誕生地

○ホラ西馬音内言葉集めて見たれば 何たらやらしくにゃ えっぺなば出来なにやびやこなばやんかんだたでんでにゃかしょ

○ホラ西馬音内女ごはどこさえたたて 目に立つはずだんす 手つき見てたんせ足つき見てたんせ 腰つき見てたんせ

○ホラ名物踊りは数ある中にも 西馬音内ぁ一番だ 嫁コも踊るし姑も踊る 息子はなお踊る

願化(がんけ)
○ヤートーセ ヨーイワナーセッチャ
 
○揃うた揃うたよ 踊り子揃うた 稲の出穂より ササなお揃うた (ソラ キタカサッサ ノリツケハダコデシャッキトセ)
  
※以下、掛け声同じ

○振れや振れ振れ 背丈の袖を ここで振らねで ササ何処で振る

○お盆恋しや 篝火恋し まして踊り子 ササなお恋し

○月は更けゆく 踊りは冴える 雲居はるかに ササ雁の声

○踊る姿にゃ 一目で惚れた 彦三頭巾で ササ顔知らぬ

○今宵一夜は 負けずに踊れ おじゃれ篝火 ササ消ゆるまで

○今宵一夜は 力の限り 踊れ東の ササ白むまで

○踊れ踊れよ 夜が明けるまで 響く太鼓に ササ月がさす

○がんけ踊って 知らねでいたば 夜明け烏が ササ阿呆と言うた

○踊ってみたさに 盆踊り習った やっと覚えたば ササ盆が過ぎた

○踊り踊らば 三十が盛り 三十過ぎれば その子が踊る

○押せや押せ押せ 下関までも 押せば港が ササ近くなる

○お前百まで わしゃ九十九まで ともに白髪の ササ生えるまで

○惚れた惚れたよ あの踊り子は 顔は知らねど ササ忘られぬ

○浮かれ浮かれて 踊っていたら 夜明け烏が ササ阿呆と啼く

○どうせ一生 思いのままに 命短し 悔いなく踊れ

○艶な編笠 絞りの浴衣 呼んでみたや あの踊り姿

○太鼓櫓で 踊り子見れば 秋の実りの ササ稲の様だ

○おじゃれ篝火 懐かし恋し またと会うやら ササ会わぬやら