尾鷲節 歌詞
【本唄】
  (ヤサーホーラエー ヤサーホーラエー)
 ○尾鷲よいとこ 朝日を受けてヨ
イソレ 浦で五丈の 網を曳くノンノコサイサイ
  (ヤサーホーラエー ヤサーホーラエー)  
                        ※以下、唄ばやし同様

 ○ままになるなら あの八鬼山
(やきやま)をヨイソレ 鍬でならして 通わせるノンノコサイサイ


【中唄】
 ○中村山の お灯明上げ 国市の 国市様の夜籠り

【本唄】
 ○起きて沖見りゃ 沖ゃ白波のヨイソレ 殿御やらりょか あの中へノンノコサイサイ

 ○矢ノ川
(やのこ)越ゆれば 尾鷲が見えるヨイソレ 見える夕べの 宿の子がノンノコサイサイ (吉川英治 詞)


【中唄】
 ○お前とならば どこまでも 奥山の 猿掛け茨の 中までも

【本唄】
 ○尾鷲名物 青葉のたばこヨイソレ おとっちょがいなもんじゃ 俺ぁ嫌じゃノンノコサイサイ

 ○八幡山越え 汐鼻越えてヨイソレ 会いに来たもの 帰さりょかノンノコサイサイ


【中唄】
 ○お前は浜の 役所殿  潮風に吹かれて お顔は 真黒け

【本唄】
 ○右は 桃頭島 左は佐波留ヨイソレ 仲を取り持つ 雀島ノンノコサイサイ

 ○誰と別れか 長浜あたりヨイソレ 夜明け烏が 鳴いて行くノンノコサイサイ 
(野口雨情 詞)


【中唄】
 ○お前はいくつで 何の年 わたしかね お母やんに抱かれて ねの年

【本唄】
 ○月は山端に 昴
(すばる)星ゃ沖にヨイソレ わしの殿御は 真ん中にノンノコサイサイ

 ○いんらいかんか 中村山へヨイソレ つつじおばなの 枝折りにノンノコサイサイ


【中唄】
 ○十七八は寝ごいもの 井戸端の 米かす桶を 手枕に

【本唄】
 ○いたら見て来い 名古屋の城をヨイソレ 金の鯱ほこ 雨ざらしノンノコサイサイ 

 ○お前百まで わしゃ九十九までヨイソレ ともに白髪の 生えるまでノンノコサイサイ

 ○いつも月夜で 夜も八月でヨイソレ 殿も二十五で おればよいノンノコサイサイ

 ○尾鷲長浜 長六屋
(ちょうろくや)の角でヨイソレ泣いて別れた こともあるノンノコサイサイ


【中唄】
 ○お前はどんであんどで 若い衆に かき立てられて とぼされた

【本唄】
 ○馬が物言うた 馬越の坂でヨイソレ おまん女郎なら 乗しょと言うたノンノコサイサイ

 ○おまん女郎でも ただでは乗せぬヨイソレ 一里百なら 乗しょと言うたノンノコサイサイ

 ○紀州熊野灘 八百八島ヨイソレ 佐波留
(さばる)沖出りゃ 神頼みノンノコサイサイ

 ○お獅子神楽舞
(しんぐるま)の 虎さん笛はヨイソレ 一里聞こえて 二里響くノンノコサイサイ
 
 ○お前一人か 連れ衆はないかヨイソレ 連れ衆後から 駕籠で来るノンノコサイサイ

 ○娘十七八ゃ 抱き頃寝頃ヨイソレ けん衆持ち頃 だまし頃ノンノコサイサイ

 ○新田若い衆 矢ノ浜娘ヨイソレ 林ゃよい娘の 出来ぬとこノンノコサイサイ

 ○喧嘩嫌いじゃ 餅搗きゃ好きじゃヨイソレ 命取んりゃい なお好きじゃノンノコサイサイ


【中唄】
 ○みどれみどれ 三木の浦 栄螺のお尻で 目があかる ツイタカヤ ツイタカヤ

【本唄】
 ○ままになる身を なしょままならぬヨイソレ ままになる身を もちながらノンノコサイサイ

 ○思い直して 添う気はないかヨイソレ 鳥も枯木に 二度止まるノンノコサイサイ

 ○鳥は枯木に 二度止まるけどヨイソレ 花は枯木に 二度咲かぬノンノコサイサイ

 ○花に枯木は二度咲かぬけどヨイソレ 藤も巻き付きゃ 花も咲くノンノコサイサイ

 ○今年ゃ十六 ぼんぼの毛が揃うたヨイソレ 誰にさせましょ 初ぼぼをノンノコサイサイ

 ○ぼぼしょぼぼしょと 言うて鳴く鳥はヨイソレ 鳥のうちでも 助平鳥ノンノコサイサイ


【中唄】 
 ○お前待ち待ち 蚊帳の外 蚊にかまれ 七つの鐘の 鳴るまで

【本唄】
 ○わしの心と 国市の浜はヨイソレ 他に木はない 松ばかりノンノコサイサイ

 ○色が黒ても 心配するなヨイソレ 沖で鰹の 色男ノンノコサイサイ

 ○これさ道芝 物問いましょにヨイソレ わしの殿御は 通らぬかノンノコサイサイ

 ○わしは道芝 夜露にうたれヨイソレ 人の殿御の 守りはせぬノンノコサイサイ

 ○君と別れて 松原行けばヨイソレ 松の露やら 涙やらノンノコサイサイ

 ○色の堀町 喧嘩の林ヨイソレ 男伊達する 中井町ノンノコサイサイ


【中唄】
 ○あの娘にもろた てんてん手拭いを かんかん川端の 柳のこんこん小枝に 引っ掛け置いてきた

【本唄】
 ○馬は豆好き 馬子は酒好きよヨイソレ 乗ったお客は 女郎好きノンノコサイサイ

 ○わしとあなたは 尺八のためヨイソレ 夫婦となるのも 穴のためノンノコサイサイ

 ○意地と張りなら かの淀川のヨイソレ 水の流れを 止めてみるノンノコサイサイ

 ○林ゃ米の飯ゃ 正月か盆かヨイソレ 親の年忌か 煤とりかノンノコサイサイ

 ○右は 桃頭島 左は佐波留ヨイソレ 波に背洗う 裸島ノンノコサイサイ

 ○遠く離れて 会いたいときはヨイソレ 月が鏡と なればよいノンノコサイサイ


【中唄】
 ○お江戸の橋で 金拾うて おやま買おか 刀買おか 刀が寝やらりょか

【本唄】
 ○わしがままなら あの八鬼山をヨイソレ 鍬でならして 通わせるノンノコサイサイ

 ○行こか長浜 戻ろか尾鷲ヨイソレ ここは思案の 汐鼻かノンノコサイサイ

 ○親は樋の竹 子は樋の水ヨイソレ 親がありゃこそ どこまでもノンノコサイサイ

 ○汐鼻越すとき 烏の声でヨイソレ あの娘の身持ちが 気にかかるノンノコサイサイ


<祝い唄>
 ○沖の暗いのに 白帆が見えるヨイソレ あれは紀の国 蜜柑船ノンノコサイサイ

 ○尾鷲よいとこ 朝日を背なにヨイソレ 受けて入り来る 宝船ノンノコサイサイ

 ○お前百まで わしゃ九十九までヨイソレ ともに汁椀(しるわん)の はげるまでノンノコサイサイ

 ○尾鷲よいとこ 海から明けてヨイソレ 波に黄金の 花が咲くノンノコサイサイ


<字余り>
 ○精進じゃ精進じゃと 何が精進じゃ 今朝も托鉢戻りに あわび買うて喰うて それでも精進か

 ○高い山から 沖見れば 沖の親船の船頭さんは 縄の襷で 錨引く

 ○お前ぼんぼの毛は 剃ったったか 焼いたったか 元よりないのかヨイソレ 
     ただしゃ金比羅さんへ あげたのかノンノコサイサイ


<新作>
 ○誰と別れか 長浜あたりヨイソレ 夜明け烏が 鳴いて行くノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○忘れなさるな 尾鷲の町をヨイソレ ここは大台 登山口ノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○島は七島 弁財でさえもヨイソレ 潮の満ち引き ままならぬノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○雀島さえ 日暮れ頃にゃヨイソレ 一人しょんぼり 残されるノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○波の飛沫に 泣き泣き濡れるヨイソレ 沖の桃頭 岩つばめノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○沖の黒潮 流りょとままよヨイソレ 舟は港を 唄で出るノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○尾鷲恋しや 馬越の峠ヨイソレ 幾度涙で 越したやらノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○鰤は港に 杉檜は山にヨイソレ 紀伊の尾鷲は よいところノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○尾鷲港の 天倉山はヨイソレ 船の目当ての 目印かノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○海に霧立ちゃ 行先ゃ見えぬヨイソレ どこが尾鷲の 港やらノンノコサイサイ (野口雨情 詞)

 ○いんらんこらこら 聞いたか見たかヨイソレ 紀州熊野の 尾鷲節ノンノコサイサイ 
(田中幾三郎 詞)

 ○矢ノ川(やのこ)越ゆれば 尾鷲が見えるヨイソレ 見える夕べの 宿の子がノンノコサイサイ (吉川英治 詞)