安来節 歌詞
<素 唄>
○安来千軒 名の出たところ 社日桜に 十神山

○松江名所は 数々あれど 千鳥お城に 嫁ケ島

○出雲名物 荷物にならぬ 聞いてお帰り 安来節

○上げた白帆が 染まりはせぬか 安来港は 花吹雪

○安来安来と 駅呼ぶ声に 見れば間近に 十神山

○いつも変わらぬ 緑の色で 裏も表もない 十神

○鶴が来ました 十神の山へ さぞや亀島 うれしかろ

○鐘に送られ 清水もどり 早やも社日の夕桜

○愛宕お山に 春風吹けば 安来千軒 花吹雪

○わしがお国で 自慢なものは 出雲大社に 安来節

○恵比寿大黒 出雲の国の 西と東の 守り神

○十神お山に 花衣着せて 添わせたいぞえ 出雲富士

○旅は道連れ この世は情け 助け合うてぞ 世は丸い

○安来港に 碇はいらぬ 十神水雲(もずく)で 船つなぐ

○関は朝日よ 杵築は夕日 名所出雲の 西東

○山晴れ山晴れ 出て山見れば 雲のかからぬ 山はない

○松江大橋 流りょが焼きょが 和田見通いは 船でする

○和田見恋しや 伊勢宮様の 松が見えます ほのぼのと

○伯耆大山 だらりの帯よ 解いて投げたか 五里ケ浜


○咲いた時より その散り際を 人に見せたい 桜花

○人の手前は 薄茶と見せて 心濃茶の 四畳半

○鐘に送られ 清水もどり 早やも社日の夕桜

○汽車の窓から 社日ヶ丘は 一目千本花ざかり

○わたしが出雲の 神様ならば 添わせてあげたい 人があry

○出雲八重垣 鏡の池に 写す二人の 晴れ姿

○国のお方と 知らずにいたが 唄で気づいた 安来節

○荒い波風 さぞ辛かろう 姿かわすな 嫁ケ島

○何はなくとも 出雲へござりゃ 心尽くしの 安来節

○お国ばかりか 外つ国までも 唄い響かす 安来節

○お国訛りを つい悟られて 唄いましたよ 安来節

○私ゃ出雲の 安来の生まれ 子守唄から 安来節

○狭い安来に お糸が生まれ 広い世界に 安来節

○秋の色草 先出た花の 咲いた中より 咲き誇る

○通う千鳥の 心も知らず 君が隠した 須磨の浦

○神代ながらの 出雲の国に 昔かわらぬ 安来節

○さても珍らし 月の輪まつり 夜の安来は 人の波

○唄に名高い 社日の桜 安来千軒花霞

○出雲札所は 清水さまよ 花が散ります 菅の笠

○一夜泊りの 安来の宿に 聞くもうれしい 安来節

○芸はなけれど 生まれは出雲 下手も自慢の 安来節

○まとまるものなら まとめておくれ いやで別れた 仲じゃない

○三味の音色は 千両のあたい 唄は万両の 安来節

○出雲大社で 結んだ帯を 心安来の 宵に解く

○心安来に 思いは隠岐に 波を枕に 船の旅

○熱い情に 鋼も溶ける 溶けて社日の 花と咲く

○恋と鋼は よう似たものよ 焼きよ次第で 味が出る

○松江大橋 柳の雨に わたしゃあなたを 濡れて待つ

○咲いた桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば 花が散る

○恋にこがれて 鳴く蝉よりも 啼かぬ蛍が身をこがす

○金はなけれど 日毎に唄で 心楽しく 暮らしたい

○恩を忘るな 育ての親の 手許はなるる 巣立鳥

○咲いた時より その散り際を 人に見せたい 桜花

○兎角世間は 枯木に見せて 裏で咲かせる 藤の花

○思い出すよじゃ 惚れよが浅い 思い出さずに 忘れずに

○山に切る木は 数々あれど 思い切る木は 更にない

○薮の筍 どなたのために 今朝も一肌 ぬぐのやら

○露に濡れたる つがいの蝶々 しばし菜の葉の 裏住まい

○月も宿らず 汲む人もなし 木の葉がくれの 谷の水

○安来大橋 朝もやこめて 夢の港は まださめぬ

○安来千軒 昔のことよ 今じゃ万軒 唄の街

○親の手ほどき その子がうけて 孫も唄うよ 安来節

○大和島根の 北から南 歌で踊らす 安来節

○親がうたって 子供についで 孫子も好きだよ 安来節

○今も昔も 変わらぬものは お糸まつりの うたの声

○響け歌声 世界の空へ とどけ島根の 安来節

○お国訛りと 神話が自慢 うたい響かせ 安来節

○見ても聞いても 心がはずむ 日本一だよ 安来節

○花の安来で 生まれて育ち 今じゃ世界の 安来節

○三味の音色と 自慢の声で さすが本場の 安来節

○みどり豊かな 島根の旅路 唄も明るい 安来節

○唄の安来か 安来の唄か 唄で伸び行く 安来節

○出雲生まれを 誇りに持って 声張りあげよ 安来節

○唄いつづけりゃ 苦労も年も 忘れますぞえ 安来節

○花の社日と 十神の山を 風が掛けたる 桜橋

○唄は聞きもの 踊りは見もの 唄え踊れよ 安来節

○わたしゃ出雲の 安来の生まれ 子守り唄から 安来節

○年に一度の 月の輪まつり 唄いますぞえ 安来節

○安来名所は 社日の桜 人の心に 花が咲く

○たった一節 唄へば知れる 本場仕込みの 安来節

○年は取れども 鍛えた喉で 唄う自慢の 安来節

○主の踊りで 妾の唄で 世界隈なく 広めたや

○踊るあの娘の 身振りに惚れて 習い覚えた 安来節

○嫁御唄えば 鶴亀踊る 笑顔千両の 安来節

○唄に聞き惚れ 踊りにみとれ 月も浮かれる 安来節

○老いを忘れて ただ一筋に  唄い続ける 安来節

○夢の大橋 安来と米子  かけて嬉しや 中の海

○宍道湖水の 屋形の上で 仰ぐ大山 雪の肌

○宍道湖水を 鏡に見立て 素肌見せたか 出雲富士

○宍道湖水の 朝霧晴れて 浮いたお城の 晴姿

○島根見どころ 荒波しぶき 神楽太鼓に 安来節

○十神大橋 朝もや晴れりゃ  安来鋼の 鎚の音

○伊予に石鎚 島根に大社 共に育てる 安来節

○可愛いお手ゝが 十から先は 指が足りない 幼稚園

○紅いりんごを 並べたような 子等の寝顔に 母の笑み

○親の意見と 茄子の花は 千に一つの 仇がない

○誰が生けたか 一輪差しの 春が芽を吹く 猫柳

○あの唄聞くたび 想いは出雲 夢も安来の その一夜


<どじょう掬い>
○親父どこ行く 腰に篭下げて 前の小川に どじょう取りに

○唄に千両の 値踏みがあれば どじょうは万両の 味がある

○わしが生まれは 浜佐陀生まれ 朝まとうから どじょやどじょ

○たった一夜の 時雨に濡れて 乱れましたよ 萩の花

○高い山から 谷底見れば 乙女姿の どじょう掬い


<銭太鼓>
○何はなくとも 出雲みやげ ご覧下さい 銭太鼓

○可愛いけりゃこそ 毎晩通う 憎うてこの町に 蛇の目の唐傘 骨の数ほど 通わりょか

○竹に雀はコリャ あちらの藪から こちらの藪へと チュンチュンバタバタ羽交えを揃えて 品よく止まる
 止めて止まらぬコリャ 三千世界に 唄と踊りと銭太鼓


<五文字冠り>
○嵐山 桜咲かねば ありゃ只の山 貴方も実なきゃ 只の人

○紫陽花は 粋な花だよ 七色持ちて 深くなるgほど 色を増す

○ただ見れば 何の苦も無き あの水鳥の あしに暇無き 我が想い

○雲の帯 雪の衣も 皆脱ぎ捨てて 素肌見せたか 夏の富士

○竜田川 無理に渡れば 紅葉が散るし 渡らにゃ聞かれぬ 鹿の声

○滝の水 岩にせかれて 一度は切れる 流れ行く水 また一つ

○紙投げて 筆をくわえて 硯をたかめ どう書きゃ 想いが届くやら

○山は富士 花は桜木 あの人は武士 唄は出雲の 安来節


<字余り>
○今しばし 待てば添われる身を持ちながら 急いて世間を狭くする 急かなきゃ先越す人もある

○落ち着いて 物の道理をよく聞かしゃんせ 美人に惚れるはそりゃ野暮よ 
  金の屏風も中反故(ほうぐ) 人は見かけによらぬもの


○安来節 聞こし召さんと 八百よろずの神の 十神お山に集まりたもうは 他国の神無月

○黄菊 白菊 茜菊 花の蕾の若菊を なぜに濡らすか 初時雨

○敷島の 大和心は桜か梅か 四十七士は国の花 花は散りても 残る誉は 芳しく

○色を捨て 欲にはなれた 西行法師 富士の高嶺に 一人寝の 岩を枕に 眺め見渡す 田子の浦

○泣かずんば 啼くまで待とうよ 山時鳥(ほととぎす) 人は辛抱が第一よ 
  軒端の雨垂れ 石を掘る 待てば成功の 時も来る

○七転び八起きの努力は 無駄にはならぬ 富士の高嶺も麓から 塵も積もれば山となる 
  待てば成功の 時も来る 


○その夢を聞いてみたいと 思うたなれど 聞くに聞かれぬ 花に眠りし 蝶じゃもの

○淋しさに 小窓引き上げ 外眺むれば 浜辺に映る残月や 空に一声雁金の 声聞きゃ お顔が見たくなる

○白滝の 水は夜昼落ちても 浮名は立たぬ 女の浅まし 一夜落ちても 浮名立つ

○今鳴るお鐘は ありゃ明け六つの鐘  申し坊さん もう一つ撞いて 七つの鐘にして欲しや 話残した ことがある

○思うて通えば 七曲りも一曲り 会わずに帰れば ただの一曲りも 七曲り

○安来千軒 名の出たところ 社日桜に 十神山 十神山から沖見れば いずくの船かは 知らねども 
  滑車(せみ)のもとまで 帆を巻いて ヤサホヤサホと 鉄積んで 上のぼる

○鳴いてくれるな 出船の鷗 これが別れとなるじゃなし 社日桜の咲く頃は
  追風(おいて)に帆掛けて 酒樽積んで 港入り

○瀬田の唐橋 百二十五間 栗の木 松の木 欅の楼閣 せいろ橋 大津の鍛冶屋と 草津の鍛冶屋が 集まりて 
  コラ朝から晩まで 飯(まま)も食わずに 打賃とらずに トッチンカラリヤ チンカラリンと  
  叩き伸ばした唐金擬宝珠(ぎぼし) 橋の上から 眺むれば しかも天下の 御條文(ごじょうもん)が 
  水に映りし 膳所(ぜぜ)の城

○わしの生まれは 平田(ふらた)の生まれ ワカメにゃワカメ 布(め)の葉や布の葉 
  おばさんこんちは ご機嫌さん ただものおおきに ありがとさん 
  彼此おっしゃいますと 斤量(きんりょう)の目が減りますよ かけた布の葉が コナおばさん 一反とんで 二十四匁

○わたすァ雲州 平田の生まれ 十里二十里三十里 西の果てから 東の果てまで 
  引(ふ)くずる 引(ふ)っぱってきたものを 今更暇(ふま)とて 暇とらぬ 
  広い世界に コナ旦那さん 主(ぬす)一人

○竹になりたや コラ大阪天満の天神さんの竹に もとは尺八 裏竹はにいだいだい
  にいだいだい どんどん 高尾の花売りの太夫さん 絵かく字書く文書く チョヤマカドンドン 筆の軸

○竹になりたや 紫竹破竹の 蛇の目の唐傘 下轆轤(ろくろ)の竹に 可愛いト一さんと パラリと広げて 
  相傘さしてな 小宿通いの 程のよさ



<節入り>
○唄はいろいろ数ある中に
  一に「都々逸」 二に「博多節」 三に「追分」 四つ「米山の薬師」
  五つ出雲の安来節


○下田港のあの紅椿 咲いて悲しや唐人お吉
(浪花節) 
 「日本最初の領事館 伊豆の下田の玉泉寺 宿れる米国全権ハリス  開港条約結ばんと 幕府と港奉行所に
  再三再四の会見も 互いの主張異なりて ついに怒った全権は 日本政府は誠意なし
  ただこの上は砲弾の力によらんと威嚇して 奉行所よりわが宿へ

  これが浮世か何としょう 夜毎涙の乱れ髪

<名古屋甚句入り>

○千両箱 富士の山程積んでもいやよ 好いたお方と暮らすなら
(名古屋甚句) 
  「あれ聞かしゃんせ吉原の 廓雀の言うことにゃ
 男がようて金持で それに女が惚れるなら
 奥州仙台殿様に なぜに高尾がノーホホイ アー惚れなんだヨー」

 金無き島田に義理立てて さすが浮世は 義理と人情のからみ合い


<磯節、追分入り>

○鹿の声 聞くが辛さに浜辺に住めば
(追分)「千鳥鳴く 島のほとりに」
(磯節)「あの侘び住まい 二人が仲に吹く松風は」
(追分)「またもや差し込む」
(磯節)「二十三夜の窓の月」
  晴れて嬉しや新所帯


<追分入り>
○大工さんには 頼みがござる ちょっとここらの 部屋の戸が 開けたてするのに 音がする

(追分)
 「忍ぶ恋路の じゃまとなる そろりと開けてそろりと立つように」
  なりはすまいか 大工さん

○一つ家の 鹿の鳴く声もう飽いた 逗子や熱海の 海岸で

(追分)
 
「寄せては返す アノ夫婦波ヤンサノエ いとも静かに銀世界 
  好いたお方と アノ二人連れネ 晴れて射し込む窓の月」
 粋な二上り 三下り 浮世離れて暮らしたい 


<長持唄・甚句入り>
○娘十八 嫁入り盛り
(長持唄)
 「ハァー今日はナー 日もよし ハァー天気もよいし 結びナー合わせてヨ ハァー縁となるナーエー」
(甚句)
 「箪笥 長持 挟箱 鏡台 針箱 針休め これ程持たせてやるからは 
 必ず帰ると思うなよ 申し母さん そりゃ無理よ 西が曇れば 雨となる
 東が曇れば 風とやら 千石積んだる船でさえ 
 風が変わればヨーホホイ アー出て戻るヨー」
 私の心もその通り 先の出ようで 出て戻る

<米山甚句入り>
○洗い波風 逆巻く怒涛 船は帆任せ 帆は風任せ
(米山甚句)
 「沖の暗いのに あんな恐ろしい嵐に 白帆が見ゆるじゃないかいな」
 あれは紀の国 蜜柑船 男文左と 今の世までも 名を残す

<さすらい>
○さすらいの旅を重ねて わしゃ安来より
(小原節)
 「ハイ 押せや押せ押せ 二梃櫓で押せや(キタサノサ ドッコイショ キタサッサト) 押せば港が オハラ近くなる」
(磯節)
 「幾夜寝覚めの 海原越えて(オヤ サイショネ) 行くは仙台 石巻 行くはネ(ハ ドンドン) 仙台イソ 石巻」
(追分)
 「三十五反の 帆を巻上げてネー(ソイ) 蝦夷地離れりゃ 佐渡島」
(おけさ)
 「ハァー佐渡の(ハアリャサ) おけさについ浮かされてヨ(ハアリャアリャアリャサ) 月も踊るか 佐渡島」
  小島小島や出雲崎 これほど帆掛けて来たけれど 頼りに思うは 此処にお越しのお客様