<長野県上田市武石/子檀嶺神社>
斧入れ式・山出し祭〜式年前年11月初旬の日曜日
大祭〜式年4月15日前後の日曜日

長野県の東部に位置する上田市・旧武石村は、美ヶ原の麓の静かな山の村です。

その旧武石郷8ケ村の産土神・子檀嶺神社で、7年目に1度、御柱大祭が行われています。御柱祭といえば、諏訪が本家で有名ですが、各地の諏訪神を勧請した神社では、規模の大小はありますが、御柱祭が行われています。

武石の場合、子檀嶺神社は、宮元が小沢根地区、中社が余里地区にあることから、御柱大祭もこの2地区で執行されてきましたが、昭和43年からは全村あげて行われています。特に武石の場合、大変大規模で、しかもきらびやかな「お練り行列」で知られています。


<式年前年>行事として、@御神木見立て、A注連縄張り、B斧入れ式、C山出し祭 が11月の初旬に行われます。
そして大祭執行の年<式年>の4月15日前後の日曜日に盛大に祭りが行われます。


<式年大祭>まず、村の中央公民館に、あらかじめ神社から遷されていた御神体が神輿にしつらえられており、当日はその前での神事からスタートします。

<お練り>8:30、すべての諸役を読み上げる「読み立て」によって、「お練り」が出発します。
「お練り」は、社名旗や鼻高の道祖を先頭に、大榊や鉄砲、薙鎌などの役の後、小長刀(小人)、中長刀(大人)、振長刀(大人)が、「イヤー」といった掛け声とともに、進みます。
また、道化の振瓢(ふりふくべ)とおかめが列を離れて、観客に笑いを誘います。
飛脚スタイルの金紋御先箱は、独特のステップで、ゆったりと進みます。
更に御弓、御鉄砲、御槍、大鳥毛、傘等の持ち物を廻しながら進んでいきます。
その後ろには、太鼓、笛が、《お練り道中唄》を奏しながら、囃子が行列を盛り立てます。なお、この笛のメロディは、この地域に広く分布する三頭獅子の《道行》と《岡崎》の曲と同じものです。
その後を神輿、神職等が続きます。これらの行列が、村内七ケ地区の信広寺脇の「御旅所」まで進みます。


<御柱曳行>御旅所からは、御柱の曳行が始まります。長い綱を引きながら、神社境内まで引いていきます。この時「みなさんお願いだ〜」といった「木遣り」があります。ただ、本家・諏訪のようなものではなく、「掛け声」のようなものです。
この神社の拝殿は、斜面の上に位置しますので、御柱を引き上げながらの曳引です。長い綱を、タイミングよく引き上げながら、少しずつ境内へ持ち上げます。
「お練り」の方は、鳥居をくぐって、拝殿前まで進みます。12:30頃には終わります。

建御柱は、拝殿下の広場で行われ、3:00過ぎに終了となります。

諏訪の御柱は上社、下社、それぞれ4本ずつ建てられますが、武石の場合は1本です。その他、細かい点で諏訪とは異なりますが、御柱の曳引と風流系芸能の融合といったスタイルの基本は同じです。
また、この華やかな「お練り行列」は、大名行列を模したものということで、上田藩から差し止めを受けたといいますが、武石の小松典膳という者が、藩主の前で長刀振りの妙技を披露し、その褒賞として「お練り」の復活を認めさせ、本物の大名行列と区別するのに、道化の振瓢(ふりふくべ)とおかめをつけたといいます。
また、この「お練り」は、おとなりの小県郡丸子町腰越の御柱祭にも取り入れられているのだそうです。


前回の式年は平成10年(1998)でした。諏訪大社の御柱と同じ年ですので、武石の御柱大祭へも忘れずに出かけたいものです。