<石川県輪島市門前>
2月6日

石川・輪島市・旧門前は、能登半島の外浦で、海あり山ありの静かなところです。町名は、曹洞宗大本山総持寺の文字通り、門前町です。その山手にある鬼屋神明神社で、2月6日に行われてきたのが「ゾンベラ祭り」です。この神社の祭神は、天照大神、豊受大神で、その起こりは、平安時代の終わり頃ではないかと言われています。

「ゾンベラ」とは、祭りの中で唱えられる「ソンブリ」という、「豊か」という意味の言葉が繰り返し使われるところから、「ゾンベラ」になったようです。実際におまつりに行ってみますと、「ブーイブイ…」「ネーソネソ…」などといった、面白い擬音が発せられ、笑いを誘います。

この祭りは、いわゆる「田遊び」で、神社拝殿内を田に見立てて、模擬的に農作業を演じ、豊作を祈る祭りです。

演じる人々は、祭主1人、牛の鼻取り1人、早乙女4〜6名によって行われます。早乙女は、絣の着物に手甲、頬被りといった姿で、愛らしい。

次第 内  容
1  宮ほめ  初参りにあたってお宮に対して祝言を述べる。 
2  年ほめ  年明けにあたって、年、作り田について祝言を述べる。 
3  糸つむぎ  山着作りのために糸つむぎをする。餅鍬をまわす所作がある。 
4  水あげ  田作り用の水上げ。 
5  あら起し  餅鍬を振り上げながら詞章を唱え、あら起しをする。 
6  畦ぬり  前列の参拝者を畦に見立てて、詞章を唱えながら餅鍬で畦ぬりをする。 
7  苗代作りと種ま  祭主は歌を歌いながら太鼓を打つ。前列はそれに合わせて、枝で床を打つ。その後、祭主は種をまく。
8  牛買い 

前半は陸奥へ牛を買いに行く場面、後半は、牛が来ると太鼓をころがして鼻取り役と共に耕す所作をする。

9  肥草取り  「ゾンブリ」と唱えるだけ。これが「ゾンベラ祭り」のネーミングの元。 
10 苗見  苗の育ちを見る場面。 
11 タバコ  休み。鼻取り役がお膳に椀を二つのせて祭主に差し出し、問答をする。最後にはお膳をひっくり返す。 
12 田植え  祭主が太鼓を打ちながら「田植え歌」を歌う。早乙女と鼻取り役が田植えをする。 
13 田ばやし  祭主が太鼓を打ち「田ばやし」を歌う。参拝者は木の枝でそれに合わせて床を打つ。