○ハアー春の始めに この家(や)旦那様サ 七福神のお供して コラ 俵積みに参りた
○ハアーこの家旦那様は 俵積みが大好きで お国はどこかとお聞きある コラ 私の国はナ コラ
出雲の国の大福神 日本中の渡り者 コラ 俵つみの先生だ
○ハァーこの家旦那様の お厩(うまや)をば見てやれば
前口三十三間で コラ 奥行三十三間で
三十三間四面のお厩に コラ つなぎとめたる馬の毛は
一に栗毛二に葦毛 コラ 三に虎斑(とらぶち) 鴨糟毛(かもかしげ)
ハァー中の黄金柱に つなぎとめたる馬の毛は コラ 誰がつけたか大御鹿毛(おおみかげ)
○ハァーこの家旦那様の 奥のお屋敷見てやれば
白髪生えたるお爺様と 腰の曲がったお婆様と
千両箱に腰おろし コラ 万両箱に肘をかけ
金の屏風をたてまわし コラ 金の火鉢に金茶釜
金の楊枝をくわえて コラ 備後表の御畳(おんたたみ)
でんでん甲羅の虎の皮 コラ これにおすわり旦那様
○ハアーこの家旦那様の お屋敷をば見てやれば
蔵の数が四十八コラ いろは蔵とはこのことだ
一の蔵は銭蔵コラ 次のお蔵は金(かンね)蔵
次のお蔵は宝蔵コラ 次の蔵から俵蔵
俵蔵には米を積むコラ 七万五千の御俵をば七十五人の人足で
大黒柱を取りまいてコラ 千戸から千石 万戸から万石
ヤッコラセの掛け声でコラ 棟木までよと積み上げた
さても見事に積み上げたコラ
お褒め下され旦那様サ お祝い下んせ母(かか)様
〇ハァーこの家旦那様の奥様をば見てやれば
色が白くて白鳥だか 首が長くて鶴だか
器量のよいとこ 卵に目鼻 背の項を見てやれば
高からず 低からずコラ 体の回りを見てやれば
太からず 細からずコラ 姿のよさを見てやれば
立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花
コラ弁天様と申される
ハァー年の暮れの月の日となればコラ あまたの番頭呼び集め
あまたの箪笥引き出しコラ あまたの帳面取り出し
銭の貸を調べたコラ 金の貸を調べたコラ シラミの貸まで調べた
目出度いな目出度いな この家旦那様は百万長者と申される
※この句は、各唄の最後に付けられることもある。
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