<新潟県糸魚川市>

新潟県も富山県に近いあたりは、越後の中でもかつて上方に近く、上越地方、郡でいえば「頸城(くびき)」とよばれてきました。

この頸城には大変華やかな「舞楽」を残すまつりが盛大に行われています。

「舞楽」とは、もともと日本の伝統音楽の中でも歴史の長い「雅楽」というジャンルの内、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)などといった管楽器、鞨鼓(かっこ)、太鼓、鉦鼓(しょうこ)といった打楽器などが奏する音楽「雅楽」に合わせて、舞われる芸能です。その衣装は大変美しく、きらびやかで、その舞も非常に優雅なものです。

そうした「舞楽」は、宮廷や上方を中心とした大きな社寺や伝えられてきました。中でも大阪四天王寺のものは、特によく知られています。その「四天王寺舞楽」を地方の人々が習い伝えたとされる舞楽が、現在も民俗芸能として伝承されています。

越後頸城に残されているものも、そういった伝承のある地方の舞楽です。また、いくつかある舞の内、いくつかを神の子<稚児>が舞うところから、「稚児舞楽」とも呼ばれてきました。

ただ、こうした地方の舞楽は、本来の「雅楽」によらず、篠笛や鋲打ちの大太鼓などの伴奏によって舞われ、衣装もいわゆる「舞楽衣装」ではなく、舞の型も本来の舞楽のものとは異なっています。しかし、地方にあって、遠い都に伝わる華やかな舞楽にあこがれ、それを模倣して伝えたものでしょう。それだけに地方色が豊かで、本来の舞楽を考える上でも、様々なヒントを与えてくれそうです。

ここでは糸魚川市天津神社と能生白山神社の稚児を中心とした舞楽のあるまつりを訪ねました。

まつり 場所 月日
天津神社舞楽〜糸魚川祭 糸魚川市 天津神社 4月10〜11日
能生白山神社舞楽〜能生祭 糸魚川市 能生山神社 4月24日