<山形県東置賜郡高畠町安久津>
安久津八幡神社/9月15日

山形県東置賜郡高畠町は「まほろばの里」として紹介されるように、古くからの古墳や、由緒のある社寺が数多く残されています。
今なお古い歴史を残す安久津八幡神社に、稚児を中心とした延年が伝えられています。
安久津八幡神社は貞観2年(860年)、慈覚大師(円仁)が、この地に阿弥陀堂を創建したのが始まりといいます。康平年間(1058年)、源義家が安倍一族を討って、鶴ヶ岡八幡を勧請したといい、阿弥陀信仰と八幡信仰が重なって神仏習合の時代になっていきます。

現在でも三重の塔を残し、神社の造りもどことなく寺院建築風です。そしてこの稚児の舞が奏演される舞楽殿も、一見阿弥陀堂のような宝形造り。しかも神社に相対する位置ではなく、参道をふさぐようにして建てられているのです。これはかつての金蔵院の方に向けて建てられたためだそうです。

舞を司るのは、当地・安久津の大地家。古くから権大夫が舞師をつとめ、近隣の南陽市宮内の熊野大社、宮城県名取市熊野神社にも出向いて舞を舞ったものといいます。

舞はすべて太鼓のみで笛はないものの、演目名から舞楽の名残を見ることができます。「延年」と呼ばれるようになったのは近年のことで、単純に「稚児の舞」等と呼ばれていたようです。


演目 舞について
1 振鉾式 大人1人舞(舞師)。2本の鉾を持つ。
2 三躰舞(三代舞) 稚児3人舞。
3 拝舞(おがみまい) 稚児1人舞。扇を持つ。
4 眺望楽(ちょうぼうらく) 稚児2人舞。
5 太平楽 稚児2人舞。太刀を用いる。
6 蛇取舞 稚児1人舞。蛇を表す輪を置く。
7 姥舞 大人1人舞(舞師)。姥舞のような面を着けて舞う。