長野県上伊那郡辰野町小野

長野・辰野町小野にある蔵。酒は「夜明け前」「頼母鶴(たのもつる)」。
この小野は、かつて三州街道が通っていました。伊那谷が開ける辰野町の中心部から塩尻市へ向かう国道153号線を北上すると、かつての小野宿の古い家並みが目に入ります。

ここには鳥が大きく羽を広げたような大きな屋根の「本棟造り」と呼ばれる、信州の伝統的な建築様式の家々を見ることもできます。
そんな小野宿の街道沿いにありました。おもむきのある建物は、伝統を感じさせます。

「頼母鶴」の創業は江戸末期だそうです。「頼母」とは、このあたりが「憑(たのめ)の里」とか「頼母(たのも)の里」等と呼ばれてきたため、それに因んだもののようです。

そして「夜明け前」!これは好きです。たまたま、わたくしが就職したのが上伊那郡でしたので、酒屋へ行くと「夜明け前」が置いてあり、これがまたいいのです。今、上伊那を離れてしまったのですが、そうするとあまりお目にかからなくなりました。たまに飲みたくなって、上伊那方面へ出かけることもあります。

前、東北へ神楽を見に行きました。鵜鳥神楽を見た帰り、岩手・釜石市を通りかかったとき、ふと「岩手の酒を買おう!」と、ある酒屋さんへ入りました。
 「どちらから?」 「長野からです」といった会話をご主人としていましたら、「長野にはいい酒がありますねえ!夜明け前はよかった!」と何気なくおっしゃいました。
長野から遠く離れた、岩手・釜石市で「夜明け前」の名前を聞いて、懐かしいようなうれしいような気分になりました。

また東北の酒好きの友人が信州へ来ると、大体「夜明け前、ない?」とたずねます。

静かな小野、「憑の里」の酒は、大好きな酒の一つです。

純米大吟醸「夜明け前