◆マイ・奄美三線◆
「三味線楽譜集」
泊 三味線教室 編

鹿児島県の南、海に浮かぶ奄美は、大島本島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5島からなります。13世紀には、沖縄に成立した琉球王朝に属しましたが、薩摩藩の琉球侵攻、砂糖製造のための圧迫といった苦しい歴史があったそうです。

そんな中で民衆の叫びでもある<奄美の島唄>が生み出されていったといいます。この<島唄>は、本土の唄とも違い、沖縄の唄とも違う独特の音楽となっています。奄美の島唄は大きくわけて<東唄(ひぎゃうた)><笠利唄(かさんうた)>の2つに分類されるのだそうですが、こうした奄美の島唄に欠かせない楽器が、この「奄美三線(さんしん)」です。


外見は「沖縄三線(さんしん)」とは似ており、特徴は蛇革を使っていることです。ただ沖縄三線と同じく、本土の三味線特有の「サワリ」もありません。また、革が沖縄のものより薄いとか、棹などの細かいところで違いがあるようです。


弦は「ツル」といい、黄色いものを使用します。沖縄よりも全般に細いもので、唄者の声の高さにもよりますが、調弦は高めにとることが多いようです。一般的に言われるのには、<奄美の島唄>には裏声を多用し、音域が全般に高いことにもよるそうです。


また駒は「ウマ」、糸巻きは「カナクリ」といいます。弦のかけ方は、本土のものとは逆で、右側最上部のカナクリが3弦=女弦、下が1弦=男弦、左側のカナクリが2弦=中弦になります。

◆奄美三線のバチ◆



そして最大の特徴は、撥です。沖縄ではサック状のバチを指にはめますが、奄美では竹を使います。それも団扇の骨のように細くしたもので、撥の先に節がくるように作成したものを、指先でつまむようにして弾きます。
こうしたことで、「沖縄三線」よりもシャープな音になります。


弾き方は様々ではありますが、通常に打ち下ろすように弾くものと、逆に返すもの、薬指を触れてすぐ離す装飾=クックワといった奏法が独特なようです。また、小指を触れて離し、余韻で音を出す奏法もあるようです。沖縄にはこの返すバチの奏法はありませんので、ここらへんも奄美の特徴の一つといえると思います。


この数年、沖縄の島唄、奄美の島唄などを耳にする機会が増えました。奄美と沖縄の「島唄」を聞き比べする番組も出てきました。しかし沖縄と奄美の音楽を同一視して考えてはいけません。歴史的にも音楽文化としても明らかに異なる世界を持っています。

わたくし、お気に入りの《塩道長浜節》を弾けるようになりたい!と奄美三線を買いました。もちろんなかなか弾けませんが、独特なサウンドは、病みつきです。その内に《朝ばな》などもできるようにしたいです…。