〜富山県富山市八尾町〜
◆八尾おわら資料館◆

「風の盆」…何とひびきのいいことばでしょうか。毎年、9月1、2、3日の3日間、「おわら節」が歌い、踊られる。この頃は二百十日で、「風の盆」という固有名詞として、もう全国に知られたものになっています。また「前夜祭」として、8月20日から30日までの11日間、11の町内が午後8:00〜10:00にわたって踊られているのだそうです。

◆おわら踊り(富山県民謡・民舞まつり)◆

《越中おわら節》といえば、何といっても三味線、太鼓、そして胡弓が奏されること、そして大変高い調子で朗々と歌われること、また美しい踊りがつくこと、など魅力いっぱい。

この唄の源流は…?というと諸説あるようですが、
 
○あいや可愛いや 何時来てみても たすき投げやるオワラ 暇がない
の歌詞から、《ハイヤ節》(源流は、九州・熊本の《牛深ハイヤ節》といわれています)の変化した《アイヤ節》がもとである、といわれています。

また、胡弓が取り入れられたのは、明治から大正にかけて浄瑠璃の修行をし、八尾で結婚した「松本勘玄」が、越後瞽女の「佐藤千代」の弾く胡弓と出会い、研究を重ね《おわら節》に取り入れ、現在の形にしたものといいます。
一方、上の句、下の句を一息で歌いきる超人的な唱法は、大正時代、浄瑠璃を修行した「江尻豊治」が完成させたものといいます。

◆諏訪町通り◆

いずれにしても日本の民謡の中では、かなりハイレベルな難曲で、なかなか歌えるようなものではないですね。

わたくしは、残念ながら「風の盆」に行ったことがありません…。ある秋の日に訪ねただけでした。「曳山展示館」に行ったり、町並みを歩いたりしただけです。ただ、泊まったホテルで、ボランティア(?)のみなさんによる唄と踊りを拝見しましたが、それだけでも大感激でした。あの声はやはり生で聴かなくては…。やはり味というものが違います。また生の胡弓も、CDなどで聴くのとは聞こえてくるサウンドがやはり違ったような気がします。

《越中おわら節》は、七七七五調のいわゆる「素唄」、出だしに「雁金の…」、「奥山の…」といった五字を加える「五文字冠り」、延々と言葉を増やしていく「字余り」があります。歌詞は沢山あり、昭和初期、初代おわら保存会長「川崎順二」 により、「小杉放庵」「野口雨情」「川路柳虹」といった著名な文人墨客を招き秀歌を詠ませたといいます。

また歌い方は、「江尻豊治」以来の歌い方とは別に、やや切れ切れに歌う《天満町おわら》というスタイルも残されています。

いつかは「風の盆」にも行ってみたいと思います。ただ、テレビ等の報道などの大変な混雑ぶりを見ると…。八尾は静かな、落ち着いた町なのですが。

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