<山形県西村山郡河北町〜寒河江市慈恩寺、平塩>

羽前山形には、地方にあって大変優雅な舞楽が残されています。

日本の伝統音楽の中でも歴史の長い「雅楽」というジャンルの中で、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)などといった管楽器、鞨鼓(かっこ)、太鼓、鉦鼓(しょうこ)といった打楽器などが奏する音楽<雅楽>に合わせて、舞われる<舞楽>という芸能がありますが、大変美しく、きらびやかで、その舞も非常に優雅なものです。

そうした「舞楽」の内、大阪四天王寺のから伝承したという口伝を残すところが多い中、山形にははっきりと、四天王寺の楽人が伝えたという舞楽が残されています。

現在の西村山郡河北町の谷地八幡宮の神職、林家が一子相伝して伝えてきた舞楽がそれで、<林家舞楽>ともいわれています。同家には 『舞楽由緒』という記録があるといいます。それには、林家の祖、林越前は大阪天王寺の楽人で、貞観2年(860)に僧・円仁(慈覚大師)が山寺・立石寺を開くにあたって、大阪から移り、代々舞楽を司ったといいます。その後、山寺、慈恩寺、谷地、平塩の舞楽を奏演したようです。

現在は、山寺は明治に至って絶えたといい、寒河江市平塩は地元の人々によって奏演、本拠地、河北町谷地と寒河江市慈恩寺では、林家が中心になって奏演されているのだそうです。

伝承地 伝承地 機会 場所 月日
平塩舞楽 寒河江市平塩 例祭 平塩熊野神社 4月3日
慈恩寺舞楽 寒河江市慈恩寺 一切経会 慈恩寺 5月5日
林家舞楽(谷地舞楽) 西村山郡河北町谷地 祭礼(どんが祭り) 谷地八幡宮 9月中旬の土・日・月曜日